月: 2026年2月

必然的に大型モールも厳しくなる

前回、中小小売業の現状と考えられる方向性について書いたのだが、そうなれば当然のように商業施設も厳しくなる。中小小売業の出店は減り、さらに退店が増えていく状況になる。特に店舗数の多い大型モール(RSC)は、地域No1の物件以外の淘汰が間違いなく始まっていく。

先日、「たくろう」の漫才をネットで見ていると、「ヴィレヴァン、JTB、保険屋にいた…」の返しで「ショッピングセンターの上の方(階)ばかり…」と言っていたが、本当にRSCの高層階(特に3階)のテナントはどのSCも同じになってきている。高層階だけでなくRSCのテナントはほぼ同じ顔ぶれになっており、その同一化された状況をお客様も気づいている。新規テナントのリーシングは進まず、新ブランドなどの新しいテナントはエリアの中心的RSCにしか出店していない。

RSCのスタート期は、従来のSC(ジャスコと〇〇の専門店)のようなテナントではなく、百貨店や専門店ターゲットのメーカーの新ショップが多くリーシングされ、新鮮なテナントと大型駐車場含めた大きなSCとして人気を集め拡大していった。その時には、各地域から巣立ったたくさんの専門店も出店していた。ある意味、デベロッパーがリスクを持って新しいテナントを開発していた。

そして、現状ではテナントとして新しいショップを開発できるのは大手小売業位しかない。その開発できる企業数も限られてくる。当然新しいショップには、大きな売上を上げることが望まれる。そうなれば、商品に関してはとがったMDにはできないし、個性的な売場も作りにくい。どうしても標準的なMD中心になり、他テナントとの差別化を図れなくなる。さらに新ショップとなれば、出店場所も選ぶのでSCの優劣を見極める。出店はエリアでも中心的なSCに集中する。

デベロッパーも、小売各社と同様コストアップの流れが強い。人件費だけでなくいろんな経費も上がっていく。売れるかもしれないが企業リスクあるテナントを導入するより、大手企業の方が安心感はある。さらに、区画も大きく、ショップ運営にも不安感はない。

お客様の動きはどうなるか?昔と同じで、買う商品によって買う場所を選ぶようになる。食品を中心としたデイリー商材を買いに行くSCと「わざわざ」性のある買い物に行くSCに分かれてくる。デイリー商材は差別化が難しく「近いところ」を選ぶようになる。逆に「わざわざ」買い物に行くところは、選択肢の多いテナント揃えされているSCになる。ちょうど昔のデイリーのGMSと「わざわざ」の百貨店の関係になってきている。つまり現状のRSCの位置づけもSCごとに分けられてくる。百貨店が消えていく中、「わざわざ」がそのエリアにある中心的RSCになる。その他の同一化されたデイリー要素が高くなるRSCの位置づけは、昔の「近いところ」にあるGMSの位置づけになってくる。

今後は、人口減や老齢化も進み、客数も減少していく。現状のRSCは、当然位置づけがはっきりしてくる。そうなると、GMSが消えていったように必然的にデイリー要素の高いRSCの淘汰が始まる。その流れを予測して、イオンは「そよら」などのCSC(コミュニティSC)を開発しているし、イトーヨーカドーもCSC志向を政策としている。そして、地方スーパーはNSC(ネイバーフッドSC)を広げている。

いつも書いている結論だが、中心的RSC以外のイオンモールは今後どうなっていくのだろうか?

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厳しさを増す中小小売業

先日、友人と話していて、「人がいな過ぎて、まともに商売ができない」ということを言っていた。

中小小売業には販売スタッフが全く集まってない。データでは小売業含めての中小企業の65.6%が要員不足らしい。ましてや土日勤務の小売業には多少時給を高くしても集まらない。レジ業務や品出しに加え接客もあり、業務内容も多岐にわたっていることも原因のようだ。当然、時給も上げているし待遇面は配慮している。ただただ、集まらない状況のようだ。その友人も、エリアを統括するマネージャーや近隣店舗スタッフが欠員補充に入っている状況と言っていた。

要員不足から、売場も乱れていく。当然やるべきことができないのでそうなっていく。そうなると、売場は安易な方向に進んでいく。接客(ちょっとした声掛けも含む)に手が回らなくなり、セルフで売れる商材が増えてくる。セール商材や値頃感を打ち出した商品のウエイトが上がっていく。安易に売れそうな過去品揃えしてなかったターゲットの商材にも手が出る。

ここで、一番危惧することは「企業コンセプト」が崩れることだ。厳しい状況になった現状、もう一度そのコンセプトを話し合い、変更していくのか、継続するのか決めるべきだ。これが企業の今後について一番大事なことだと思う。

かつて、過去の経験からの成功モデルを想定し、小売業を立ち上げた。その後再度、コンセプトや方向性を見直した。企業のミッション(存在価値)を設定し、そのターゲット商圏を分析し、そこに向かう分析をし、成功要因を導き出したつもりだった。具体的数字にも落とし込み、目標も定めた。さらに少し伸び悩んできたときには、時間をかけて、昔研修で学んだいろんな角度で戦略立案してみた。それにより、立ち上げた事業の成功には向かっていけると感じた。だが、コロナで木っ端みじんに吹き飛んだ。

厳しい中小小売業は、そういう企業としての方向性を再度きちんと整理していく必要があるのではないかと思う。そして、その方向性に沿って戦略をジャッジしていく時期だと思う。

さらに、こういう時期だからこそ、各店の棚卸も必要だ。損益を考えて継続するべき店かどうか全店チェックする。要員不足の店が、今後再びきちんとした要員で商売できるのか?そしてその店は、きちんと収益を出していけるのか?もし、将来的に大きく収益が見えない店があれば、撤退して、人を異動させるということもできる。当然各店の償却残の金額や、違約金、撤去費なども考えてジャッジしなければならない。ドミナントできてない店は特に注意が必要だ。マネジメント層がデータをまとめて、再度各店の方向性を明確にする必要がある。

企業は「人」「物」「金」とよく言われる。「物」は「金」があれば解決するし、「金」は財務内容次第では手配できる。「人」はどうしようもできない。「人」抜きで拡大して失敗した会社を多く見てきた。これだけ「人不足」の状況が続く中、一度立ち止まって事業としての棚卸をし、その結果として前向きに半歩後退するのも正しい選択かもしれない。

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福岡の街はこれでいいの?

福岡は、街や人との相性がすごく良く、個人的には日本で一番いい街だと思っている。四半世紀位前に住んでいたことがある。天神ビブレというファッション中心の商業ビルで店長をさせてもらっていた。もともとはマイカルグループNo1の収益店舗で、在任時は急降下中ではあったがビブレではまだ収益面ではNo1の店ではあった。その話はさておき、天神地区は九州の商業の中心のイメージがあり、大型商業施設がしのぎを削っていた。さらに西通りや親不孝通りにも多くの店があった。でも、毎日毎日飲んでいたことが一番の思い出かもしれない。どの店で飲んでも、親しみがあり安くてうまかった。

ワンビルという巨大施設を見てきた。ビブレとコアと福ビルが1つになっており、19階建てでファッション、ビジネス、ホテルの大きな近代的なビルに生まれ変わっている。商業エリアはがっかり感が強く、「もう行かなくていい」という感想につきる。「シャネル」を誘致するのに力を出し尽くし、テナント揃えがバラバラで、俗にいう人気どころも入っていない。さらに大きなインパクトを残すブランドも少ない。有力テナントが他の商業施設とのつながりが強く、リーシングが難しかったのだとは思う。もうすでに退店ショップもあった。商業だけの売上なら、過去の商業施設の合算の半分以下になっているのではないか?

先日、福岡パルコが建替えのため27年2月に閉店すると発表された。旧岩田屋の物件で好立地ではある。昨年の売上が280億となっている。さらに西側にある新天町の商店街もパルコ跡地と合わせて大規模再開発されると発表されている。再開発まではその売上分も消える。今回ぶらぶら街を歩いていて、パルコ→新天町→岩田屋→ソラリア→(三越食品)→地下街の人の流れが多く、渡辺通りをはさんだワンビルとは客数も客層も違っていた。これでパルコ、新天町商店街がなくなればお客様の流れは大きく変わるかもしれない。百貨店顧客中心になり、九州各地から集まっていたヤング層の行くところはなくなってしまう。

その後博多駅周辺に行ったが、賑わいは間違いなく天神地区から移ってきている。以前も書いたかもしれないが可能であれば、阪急が増床(マルイを阪急メンズ館にできないか?)すれば、岩田屋の売上を超えることもあるのではないかと思う。ちなみに、現状博多阪急の売上は700億弱くらいで、博多大丸、三越よりも売上は大きい。キャナルシティと組んでその間の地域を活性化させ人気店を点在させれば、2核体制で1つの商業地域が出来上がり、天神から若い客層が移ってくるかもしれない。そうすれば駅近辺の商業面積の問題も解消されるし、天神との位置づけも間違いなく逆転する。

天神は「商業の街」だった。今回の天神地区の再開発は「ビジネスの街」への移行の意思が強い。果たして成功するのだろうか?ハコは大きなきれいなものを作ったし、さらに計画されている。そして、そこに入る企業は来るのだろうか?先行したワンビルの入居率は現在80%と報道されている。

街と人が良かった天神が変化して、その良さが薄れていくような気がする。

・追記

博多のホテルの値段が非常に吊り上がっている。今回ネットで探したが、博多⇔天神間のビジネスホテル(カプセルは除く)で最安値が1泊15000円だった。ちなみに前日は大阪淀屋橋近辺に止まったが、10000円以下のホテルは数か所あった。中国の春節の時期だからかもしれないが、どのホテルも4~5年前と比べても倍以上になっているような気がする。この値段では普通のサラリーマンだと仕事でつかえないのではないか。リッツカールトンの客が屋台で飲む絵は見えない。

■奥がワンビル(天神ビブレ跡)、手前は開発中のビル(天神ビブレ2跡)

上場会社の宿命 ユナイテッドアローズの持株会社化

数回前「コーエンの売却」について書いたが、おそらくユナイテッドアローズ(UA)は他事業へ食指を伸ばしていくだろうと感じていた。先日、持株会社化して、M&Aで非アパレル領域へも進出していくとの発表があった。「コーエン」を手放したということは、ライバルが多くいろんな客層に対応すべきボリュームゾーンでは戦えないと感じたからで、セレクト以外では戦えないという結論になったのだと思う。

所謂、セレクト業界(セレクトショップを運営している企業群)のターゲット客層は当然のように減ってくる。これは年代構成比の変遷を見れば明らかなことで、国内の平均年齢は20年後に54才になり、人口減も進み20年後には1.2億人の国内人口が1億人前後になると言われている。さらに、20~39才の女性の人口減少が著しくなっていく。つまり、現状のメインターゲットが一番激減していく。

その中で、セレクト各社はいろんな方向性を持っているが、一番売上志向が強いのがUAだ。アウトレットへの過剰出店や「グリーンレーベル」での大型モールへの出店の多さがそれを物語る。そして、アウトレットモールでの品揃えが、純粋なアウトレット商品ではなくアウトレット用オリジナル商品の品揃えであることや、「グリーンレーベル」のディフュージョン化が顕著で売上志向が強すぎる状況もお客様に浸透されつつある。これはブランド価値の低下にもつながってくる。そうせざるを得ない一番の要因は「上場している」ということに尽きると思っている。「私」の企業はマイペースでやっていけるが、「公」の企業は当然成長を義務付けされる。特に短期的な視点での成長も必要になる。つまり、上場しているがゆえに、売上志向になり、本来のセレクトショップとしての考え方が崩れてきている。

「コーエン」を手放したことで、ファッション事業で他の土俵では戦えないという結論が出た。本業のセレクトとしてのファッション回帰が急務だが、前を進んでいる感がある「トゥモローランド」や、買いやすくトレンド要素よりも定番ブランドをセレクトしている「Bshop」へは追い付けないように思う。そんな中、上場会社として企業を成長させるべき他の方法として、当然M&Aの発想は出てくる。まずファッション事業でのM&Aもあるだろうが、UAのポジションを考えるとなかなか選びづらい。同業他社を考えても、現時点では難しい。そうならば、企業方針を明確にして、現状の企業イメージにあう他の事業の企業と手を結ぼうとするのは必然だと思う。 

だが、成功するのだろうか?百も承知だろうが、別の土俵にはその土俵のビジネスモデルがある。さらに、UAの匂いにあう企業は他業種でもそこまで多くないし、規模も小さくなる。

美容関連や飲食、ホテルなどが思いつくがそこまで大きなプラス効果は望めないと感じる。現状のUAの企業規模から考えても、このMA戦略の相手企業には、ある程度の規模感の会社は必要だと思う。そうなれば、現在の企業風土とは全く違う別事業と組んでいく覚悟も必要なのではないだろうか。

今回のM&A戦略へのかじ取りは、非常に難しいと思う。上場しているが故の問題ではあるが、ファッション業態を中心として続けるかどうか、その対応が問われてくる。

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ポイント20倍

もともと買物は好きだし、食品売場も好きなので、デイリーの買物にはほとんど同行している。大変失礼なことではあるが、イオンへ行くときは5%オフの日とポイント10倍の時だけに限られている。それでも、ポイント10倍の日はかなり多いので回数は多い。そんな中、今月は11日~14日までイオンペイでの買物でポイント20倍となっている。前回も8月にあった記憶があるので決算前にやるのかもしれない。

ポイント20倍だと具体的には10000円の買物に1000円のポイントが付与され、そのポイントは後日使用することができる。一時的な割引とは違うが、1000円引きとほぼ同じ感覚と捉えられる。そのポイントを使うことで再来店を促せるし、固定客化にはつながる。

少し仕組みを調べてみたが、複雑だった。10000円の商品をポイント分1000ポイント(20倍)付与で売った場合、ポイントは将来使える価値として計算する。商品の売上は10000+1000=11000となり、現状の価値10000が10000×(10000÷11000)≒9090で売上は9090円となる。7掛けで仕入れたとすれば原価は7000なので利益額は2090と減る。そして本来発生する利益額との差3000―2090が契約負債としてBS(貸借対照表)に残る。そして後日1000円(原価70%)の商品を 全額ポイント(1000pt.)で払ったときに、売上910(BSの負債の額10000-9090)でその原価700となり利益は210となる。つまり合算すると10000円の商品の原価は7700となっており、利益額は2300で当初の利益額から-700の実績となる。簡潔に言うとすれば、通常販売なら11000(10000+ポイント分)売上原価7700、総利益3300(30%)の費用を分散させることによって、売上10000、売上原価7700、売上総利益2300(23%)とさせている。これにより、一気に利益をマイナスさせなくてすむようにしている。ただ、利益は当然マイナスする。

では、その原資はどこから出ているのか?明確にはわからないが、20倍ものポイントを付与する際は、基本ポイント(1倍)はイオンリテールが負担し、イオンペイの利用促進の目的の際はイオンフィナンシャルサービスが広告宣伝費として負担すると書いてある記事もある。どこが負担してもイオングループなのだが、一番傷が浅いのは上記した経費処理ではないだろうか。ポイント分をすべて経費で計上すれば非常に大きなものになる。どちらも収益面でのマイナス要素にはなるが、おそらく、金をイオングループで落としてもらおうというグループの政策だと思う。グループの収益構造を見れば、金融事業がリーダーであり、従来の中心事業の小売りが手段になっているようにも見える。そう考えれば利益貢献が小さいイオンリテールの存在価値もある。GMS事業をやめない理由にもつながる。

こういう販促とその実態を見ると、中小小売業はもう完全に大手企業には太刀打ちできないのではないかと考えてしまう。ただ、そうなれば大手企業の中で小売業はだんだん縮小されていくのかもしれない。マルイがフィンティック事業(金融情報業)で営業利益の8割を占め、小売業がなくなりテナント収入中心になっていったのと、同じトレンドともいえる。打算的に考えると、イオンも今後のステップとしてはGMSをやめて、イオンモールでのテナント化が普通の流れになるが、そうならないのは、まだまだ金融事業の規模が目標に届いていないということかもしれない。それとも、GMS創業者の意地なのか?

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コーエン売却③ ・・・よほど切り離したかった?

数日前に、ユナイテッドアローズ(UA)のジーイエットへのコーエン売却について、少し詳細がわかる記事が出ていた。

コーエンの前年の業績は店舗数76店舗で、売上高約104億(前年比109%)、営業損失―3.6億、純損失―6,7億円だったようだ。なお総資産は約28億円、純資産は−38.1億円の債務超過状況と記事にはある。さらにUAはコーエンに対する約57億円の債権放棄を前提としている。なお、譲渡金額は2億円となっている。

この状況で数字だけを見ると、計算上負債は66億円強となる。そして資産をすべて売却しても債務が38億強残っている。だがUAの債権放棄を加味すれば負債は9億円に減少し、純資産は19億円(57億―38億)になり、資産もプラスに転じることになる。つまり債務超過ではなくなる。UAは57億円の債権放棄をしても切り離したかったということにもなる。

当然、UAやコーエンの担当者は誰も知らないし、両社の実情も全くわからない。その上で、気になったことを書いてみる。

ジーイエットの第3四半期決算を見てみる。金融投資事業が入っていて、暗号資産の評価損が売上原価に入っているのかどうか詳細は見えにくいが、小売事業では期間売上前年比93.3%、営業利益-9.16億となっている。おそらく閉店を進めていて、閉店セールで売上は何とか確保できているが利益率はダウンしている結果だと思う。コーエンはジーイエット傘下のアパレル企業とのプラス効果を譲渡理由に挙げているが、旧ジャバグループなどとの連動は大きなプラスにはならないと思う。つまり、譲渡先が腑に落ちない。アメカジの流れがあり、きれいに売っていた感があるブランドを、大きな債権放棄までして手放した先がジーイエットだったことがわからない。債権放棄しての純資産を考えると、2025年売上104億、店舗数76の会社を欲しがるところは多かったはずだ。例えば、アダストリアやパルGもターゲットが被る店はあるが、順当に考えればそのどちらかになっても不思議ではない。考えられる理由は、在庫評価が不明瞭なことか、販売員がUAに残るというような人の問題くらいしか思いつかない。

次に気にかかるのは、UAの企業力だ。コーエンの店舗数と売上から計算すると1店舗当たりの売上は年間1.4億弱になる。大型店もあるが標準的には40~60坪くらいだと思う。この数字を見るとそこまで厳しい数字には見えないが、他の企業と収益構造が違うのかもしれない。財務諸表がないのでわからないが、一般的に考えれば経費が多くかかっているか、在庫過多のどちらかだと思う。

そういう視点で見ると、UAは今のセレクト業界以外では戦えない企業に見える。そして、上場している関係もあり、売上を上げていく事に最も注力しているようにも見える。安易にアウトレットを拡大し、アウトレット用商品を作って数字を作っているように見えるし、グリーンレーベルも大型SCに来る新しい客層にUAの名前だけで商売しているように見える。このごろあまりショップを見てないので細かくは言えないが、昔は「ソブリン」や「ディストリクト」などのショップもあり、トレンドを引っ張っていたイメージがあるが、今はUAから派生した買いやすいブランドが多い印象が強い。トレンドより値頃化して客層を広げ、UAの名前で売っている感がある。そんな中、上場企業として違うターゲットへ進出が必要で、そのブランドがコーエンではなかったかと思う。そして、そのコーエンから撤退するということは、新しいターゲットゾーンでは戦えなかったという印象しかない。今後UAの値頃感を持った派生ブランドが飽きられれば、企業としての魅力は小さくなっていくのではと思ってしまう。

今回のコーエンの譲渡には、わからないいろんな経緯があると思う。ただ、UAがUAという名を借りずに、違うターゲットや環境で戦っていたブランドを破格で手放すのは、非常に残念な思いが大きい。

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そして「廃墟モール」はどんどん増える

前回、「廃墟モール」として取り上げられたマイカル本牧について書いていて、「廃墟モール」についてのネット記事が多いので驚いた。その記事は、廃墟モールの原因を分析しており、廃墟モールに至った要因を7つにまとめている。ではこの要因が解決すれば、またそのモールは復活するのだろうか?間違いなく絶対にできない。前回書いたが「時代の変化」につきるからだ。そしてこの現象は、間違いなく今後も続く。

おそらく20年後、地方郊外にできた大型モール(RSC)も淘汰される。このブログでも昨年年末に書いているが、地方は人口減と高年齢化が進み交通弱者が増える。今回の廃墟モールの要因になっている「モータリゼーションの変化」が、今後はRSCにとってはマイナス要因になってくる。さらに、本来広域商圏であるべきRSCが、同一商圏内で乱立してきている。そして、類似したテナント構成になっており、テナントMDも狭商圏化を後押ししている。つまり、RSCとしての規模に商圏人口がマッチせず、テナント構成も大手中心で類似しており、「わざわざ感」を感じさせず多くの空床を招く要因になる。

郊外モール同様、都心でも同様のことが起こっている。例えばマルイは30年前の丸井ではない。DCブランドで一世を風靡したファッションビルだったが、今やその面影はない。渋谷マルイ本館はもう閉館して、建て直しに入っている。新宿マルイもきちんとフロアが稼働しているのは3階の「ロフト」くらいだ。つまり、7つの要因を語っても、もう意味のないことで、「時代の変化」を受け入れて次の計画をどうしていくかを語るべきだと思う。都心は商業からの脱皮も考えやすいが、地方郊外はどうしていけばいいのだろうか?

商業コンサルをしていた時に、地方SCの対策の依頼は多かった。提案はしたが、大手資本でもなかなか投資には踏み切れなかった。余談だが、提案には競合含めた商圏調査(ハフモデルなどの分析ソフトも使う)、テナントMD、導線計画、運営計画も含めている。それでも、企業として投資対効果を考えて検討すれば、なかなか投資のジャッジは出ない。投資へのリターンの確約が取れないからだ。結局、物件の売却を考えるか、小さな投資をしてそのまま続けていくかという流れになってしまう。

さて、この現象は今後なくなっていくのだろうか?高い意識を持って商業施設を作れば「廃墟モール」を防げるのだろうか?現状の人口構造、都市部への流出を考えても地方の商業施設が維持できるとは思わない。まずテナントが集まらない。今後も間違いなく、企業だけでの「廃墟モール」対策には無理がある

では、どうすればいいか?考えられるとすれば、「官」「民」がお互い知恵と金を出し合っての、街づくりを含めた対策しかないのではないかと思う。近い将来の人口減、高齢化に備え、「生活の起点」としての位置づけを考え、街の在り方を考えていく。その中で、お互いのメリットを出し合い、協力していく。例えば、単純にSCに「役所」の窓口を作る。そして、今後の人の流れを考えた計画を、生活拠点としてのRSCを中心に考えていく。RSCもそれに向けての投資もする。

余計なことを書いたようだが、「廃墟モール」物件は今後も増え続ける。「人口減少」、「高齢化」、「大都市集中」を考えれば「時代の産物」で、必然だと思う。ただ、だからと言って現象だけで終わらせてもいけない。

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