月: 2026年6月

FC事業中心の小売業

以前数回FC事業について書いたことがあるが、詳しくわからないのでできるだけ触れないでいた。先日、昼のワイドショーでコンビニの衣料戦略について多くの時間を割いて説明していた。その内容についての個人的な意見は、数回前に触れた。

その番組は、「画期的でバラ色」のようなことを言っていたが、おそらく1年後には間違いなくトーンダウンしている。前回も触れたが、コンビニはFCビジネスで直営展開ではないからだ。コンビニは回転率の高い商品を販売し、オーナーが利益を得るシステムとなっている。FC先企業が回転率の高い商品を投入することで、コンビニのキャッシュフローは成り立つ。衣料品はトピックになっても商品として回転率は低い。つまりコンビニ主力商品と違ってキャッシュインが遅れる。そうするとコンビニオーナーのキャッシュが円滑に回らない。おそらくFC先企業が条件を優遇するとは思うが、回転率が悪いと資金繰りに影響が大きい。FC先企業のニュースにはなっても、FC経営者にはその恩恵はすぐに手元に来ない。そして何よりもその商材は緊急時だけ必要で、普通はユニクロで買えばいい。さらに、利益率が高いと言っているが、売れなくなった時のリスクも大きい。ただ、セブンイレブンも追随するということには驚いた。故鈴木社長なら絶対しないだろうとは思うが・・・

他のFC事業中心の小売業と言えば、ワークマンがある。ニュースでは「暑さ対策」や「リカバリーウェア」商品で取り上げられている。数年前に少し調べて、このブログにも上げているが、どうも興味はわかない。

ワークマンのFC条件は細かく聞かないとよくわからないが、簡単にまとめると、①内装費はワークマン持ち、➁家賃もワークマン負担、③経費は電気代と人件費(ただし夫婦で働くことが前提)④仕入原価は60%(ほぼ委託、支払いは初回以外原則なし)⑤初回在庫の支払い3000万前後(低金利での借入も可)※売価在庫4500万前後からの逆算 ということのようだ。平均実績ベースで売上1400万前後、粗利36%として粗利額500万、FC取り分200万でそこから人件費(アルバイト)電気代の負担があり、夫婦で140万前後の収入と想定される。当然人件費負担が増えるとオーナーの取り分は減る。そして、そこから当然借入金の返済はある。この数字なら比較的手堅い商売かもしれない。

ただ、ワークマンも既存の「ワークウェアの店」から変わりつつある。「ワークマン女子」(失敗後店名変更)を立ち上げ、リカバリーウェアやヒート対策ウエアなどの積極投入を続けている。ある意味トレンド商品に手を出しているが、今後はどう取り組んでいくのだろうか?少しずつ従来のワークマンから変化しているようにも見える。

コンビニもワークマンも別事業に手を広げているように見える。ただ、その成功は企業だけではなく、販売先であるFC企業が前向きに動くかどうかが成功のポイントになる。前述したが、コンビニのキャッシュフローの変化にFCオーナーが耐えられるか?ファッションやトレンド志向商品の展開にワークマンのFCオーナーが付いていけるかどうか?

今までのルーチンワークに何か加われば、当然手間がかかる。そうなれば、従来の人員体制で運営ができなくなる。さらに商品知識もプラスされる。FCオーナーの負担も増える。そして何より、ファッショントレンドに立ち向かうには大きな競合(ユニクロなど)と戦わねばならない。

この流れにFCビジネスがうまく乗っていけるのだろうか?

■今日のショット(今回の旅行…上高地)

レイクタウン 今後のリーシングはきびしい

久しぶりにレイクタウンに行ってきた。以前このブログでも人造湖の周りの環境整備を指摘したが、着実に計画が進んでいてテナント誘致を始めており、環境は良くなりつつあった。平日でも多くの客数で、イオングループでは一番の商業施設であることは間違いない。北関東の観光名所的なところもあり、平日ということもあり比較的高齢者が多いようにも感じた。

客数も多く、郊外型商業施設では国内No1であることは間違いないが、この施設は今後どの方向に進むのだろう。具体的にはkazeとmoriをどういう個性にしていくのか、駅前型と郊外型に分けているように見えるが、どういう方向性なのだろうか?そしてそのリーシングは、今後うまくいくのだろうか?

近年は足元にマンションが増え人口増加も見られるが、もともとイオンの商業施設中心に開発された街である。ここで駅前型と郊外型に分けるのは無理がある。オープン時は別会社として運営しており、kazeがイオンモールでmoriがイオンリテールだった。そういう意味でモール運営として先行していたイオンモールの方が明らかに「売れる」リーシングをしていた。それが現状は、企業としてイオンリテールのモールとイオンモールは合体していて全施設ともイオンモール管轄になっている。そうなることで、差別化が難しくなってきたように見える。1つの施設としての観点と2つの別々の施設での観点では考え方が大きく変わる。さらにはアウトレットも管轄している。

おそらく、現状はkazeとmoriを2つの施設として想定している。果たしてうまく差別化はできるのだろうか?特にkazeは「食」を拡大しようとしている。「そごう西武ショップ」もカミングスーンだったし、他の食物販ショップも改装中だった。ただこの大型施設のSMは、moriがイオンのGMSの食品でkazeがグループ企業の「マルエツ」であり、差別化は全くないと言っていい。これで「食」での差別化はできていくのか?

「食」以外でも、今後出店を希望するテナントが増えてくるとは思えない。現状、レイクタウンには700を超えるテナント数がある。現在の商環境を考えれば、大企業以外のテナント開発は難しくなっている。さらに新規テナントを優遇条件でリーシングするとも思えない。実際、レイクタウンにない有名テナントは数えるほどしかなく、思いつく中では「ハンズ」「アカチャンホンポ」など近隣のららぽーと出店店舗くらいになる。数年前に高知の「ジーンズファクトリー」を誘致、宇都宮の「アーク」等とともに地方の人気店舗を導入しているが、その後他エリアの人気店舗導入の広がりは見えない。そうなると候補に挙がるのが、やはり大手企業の新規開発ショップになるが、現状の企業体力面では新規ショップは多くは出てこず、さらに高い賃料を支払うとは思えない。

お客様の流れを見ていると、デイリー的な車客はmori が中心になり、比較的若い客層はkaze中心で、その層のmoriでのニーズは2階の連絡通路からのメインフロアと飲食関連のみになっているように見える。さらにmori3階は目的型のフロアになってしまっている。そのため、moriの3階は空床や催事的なテナントが増えてきている。

レイクタウンオープン時代はモール全盛時代でkazeもmoriもリーシング面でスムーズに進めていけたとは思う。以前の会社もmoriに出店したが、非常に強気なリーシング手法だったと記憶する。ただ、現状は、上記したように国内ほとんどの企業はレイクタウンに出店しており、新規企業は賃料面の高さでなかなか手を上げられない。さらにKaze3フロア、mori 3フロア、アウトレットと非常に規模が大きくピンポイントで場所を選べない。今後、おそらくリーシングはますます厳しくなっていくと思う。

最後に、アウトレットについてだが、思い切って湖畔に内装イオン負担でラグジュアリーブランドを持ってこない限り、活性化はない。今回「シップス」が出店したが、簡易内装だし様子見で出店した感が強い。「紀ノ国屋」も出店していたがほぼ居ぬき店舗に見えた。「ユナイテッドアローズ」も「ビームス」も品揃えがアウトレットのオリジナルブランドばかりだし、もう完全に都心近郊のお客様には見抜かれている。アウトレットは特にリーシングに苦しんでいる様子がよくわかった。ただ、アウトレットが今後このSCの鍵になることは間違いない。

モール開発当初のように、出店希望企業が多くは出てこない。そして、小売企業自体の体力が落ちている。さらに「イオンモール神話」も効かなくなってきている。現状の賃料基準を考えなければ手法はあるだろうが、そうもいかない。5年後10年後はどうなっているのだろうか?マイナスを補うべく、小売以外のヒットはあるのだろうか?

■今日のBGM

地方の百貨店の存続は難しい

群馬県の県庁所在地である前橋市のスズラン百貨店が今年11月をもって閉店するという記事があった。また地方中心都市から百貨店が消えていく。

昔の地方中心都市は、現在では好立地ではない。鉄道を引くにあたって、街の中心地は難しかったため、少し離れた場所に駅を建設していった。つまり、昔は交通網としての駅中心の街ではなかった。地方都市の旧市街地が駅と離れているのは、そういう歴史がある。旧市街地の衰退は、鉄道の充足により影響を大きく受けている。前橋もその影響は大きい。

また昔の話になって申し訳ないが、前橋は社会人として小売業に従事した最初の土地であり、初めて行った街でもあった。それまで北関東以北には足を踏み入れたこともなかった。当時の前橋は中心市街地に前三百貨店(三越系)、西武2館(西友西武)、スズラン百貨店に加えて量販店のニチイ(マイカル)、長崎屋があった。この当時のGMSは今の郊外型ではなくニチイも6層の駅ビルタイプだった。ちなみに隣接している高崎には、スズラン百貨店高崎店、高島屋高崎店、藤五(伊勢丹系列、その後BIBI)があり、量販店ではダイエー(6層)ニチイ(8層)の大型物件があった。

今回の前橋スズラン閉店により、県庁所在地の中心市街地から百貨店がなくなることになり、過去5つもあった大型商業施設が消えてしまうことになる。ちなみに高崎市街地にあるスズラン百貨店高崎店も移転し、物販3層の2000坪位に縮小しており、もう百貨店の姿ではない。結果的に群馬県の百貨店は、高島屋高崎店1店舗になってしまうことになる。

その高島屋高崎店の売上は2025年2月期で161億円と公表されている。30年くらい前はスズラン百貨店計で420億位の売上(高崎スズランが約200億)だったと記憶する。当時の高島屋も200億超くらいで、後に別会社化されていたような気がする。私事ではあるが、その当時は高崎サティ、ビブレの店長を務めていたのでそういう記憶がある。現状、高島屋はスズラン百貨店の移転縮小で数字が辛うじて回復しているようだ。ただ、百貨店客層の戻りはそんなに大きくない。伸びてきているとはいえ、現状の売上では百貨店としての存続は非常に厳しいラインではないだろうか?高島屋でも売上はワースト2(ワーストは大宮)のようだし、今後前橋の百貨店客層をどう取り込むことができるかが、存続のポイントになりそうだ。

ただ、群馬県の商業の現状を見ると、完全にRSC中心に変わってしまっている。駐車場施設が少ない駅前に、わざわざ電車を利用して買い物に来る客数が増えるとは思えない。特に百貨店中心客層の高年齢層は、外出の機会も減っていく。さらに地方駅前のメイン客層はティーンズ層であり、そのターゲットの人口減も重なる。10年先を考えると駅前での百貨店の存続はないとしか思えない。

近隣の北関東の百貨店の数字を調べてみると。栃木県は東武宇都宮百貨店が2024年2月期売上269億円であり、近年は200億前後という情報もある。損益面も2024年純損失8.4億円という数字がある。茨城県では水戸京成百貨店は2025年2月期売上232億円、純損失6.4億円という数字となっている。両店とも地方関連会社としての扱いなので正確な帳票でないのかもしれないが、収益は赤字の状況のようだ。逆に栃木県の福田屋百貨店は大型RSCのような郊外物件で、未上場で数字は公表されてないが売上は2022年415億円(単店ではない)のようだ。

つまり、北関東各県に残っている百貨店はすべて赤字の状況が続いているということのようだ。いよいよ地方百貨店の存続は難しくなってきている。

■今日のBGM

今後、伸びる要素のあるSCは?

小売業の流れは本当に早い。45年位前、大学を出て就職口がなく何とか流通業に滑り込んだ。その当時はGMS絶好調時代で、どんどん店舗を拡大していった。それがもうダイエーがなくなり、イトーヨーカドーもGMSではなくなった。入社したマイカルも民事再生後イオングループとなった。さらにイオングループのGMSも体裁は整えているが、SMを除くと収益は出ていない。金融戦略のために、損益度外視で続けている現状がある。つまりGMSはなくなったと同じ状況にある。

さらに、百貨店もすでに大都市にしか成り立たなくなってきている。大都市東京都下でも、渋谷でさえ百貨店はなくなってしまう。おそらく10年後には半数ぐらいの県庁所在地でも百貨店はなくなってしまうのではないかと思う。個人的にはファッションビルも経験したが、マルイ(一応ファッションビルの分類)は金融業に転じほぼなくなり、ビブレもほぼ消滅し、パルコのみ大都市で残っている。駅ビルも同様の流れで、交通拠点の駅でしか成り立っていない。

代わりに、RSC(大型モール)がイオンモール中心に続々出店してきた。ただ、20年以上経過し、現状はもう完全に勢いは弱まってきている。新規物件は少なく、新規出店場所も地方郊外が多く、今後の地方人口減を考えると、全くプラス要素はない。完全に飽和状態になってきており、逆にイオンはCSC(コミュニティSC)やNSC(ネイバーフットSC)の開発を進めている。反面、大都市近郊に慎重に出店を続けるららぽーとは堅調に数字を確保してきている。

この50年近くの商業施設の動きを簡単にまとめると以上のようになる。

今後20年で果たしてどう変わるか?高齢者が増え続け、大都市に人口は集中し地方都市はますます高齢化が進む。20代から50代までの人口は現状の5911万人から10年後は5200万人前後に、20年後は4800万人前後にまで減少する。10年後は現状の88%になり、20年後は81%になってしまうということだ。さらに高齢者層(特に年金受給者層)は、「食」への消費は大きく減らせず、おのずと「衣」への出費は減ってくる。

国内の人口推移を見ていれば、国内の消費量は間違いなく大幅減となる。当然、大手資本の企業は海外を視野に入れるようになる。そうしないと数字はまとまってこない。国内では、郊外のRSCは、地方中核になった物件(400億規模)とららぽーとのような大都市近郊の物件以外は、マイナストレンドになってしまう。特に郊外の中核物件以外のイオンモールは淘汰が始まる。百貨店、駅ビルも大都市物件のみ存続されるが、地方はどんどん淘汰されていく。

狙い目を探すなら、おそらく大都市近郊のCSCではないかと思う。関東でのイトーヨーカドー物件がわかりやすいが、GMSの食品以外をテナントにした物件と思えばいい。衣料服飾品や住まい雑貨の大きな売場に「ユニクロ」や「無印良品」を導入する環境ができれば、その物件は間違いなく再生する。その環境づくりができるかどうかだ。同様にイオンもできそうだが、イオンは金融政策上GMSを続けそうだ。おそらく今後唯一可能性があるのは、都市型に限るがこういう物件だと思う。

唯一の狙い目に、どの企業が一番早く着手するか注目している。

■今日のBGM