小売業の一番の投資は出店投資になる。資金力のない企業は出店の失敗は会社の危機につながる。以前30坪の店をSCに出店するだけで2000万円以上の資金が必要と書いた。敷金は当然退店時返却されるが、撤去費として考えるとほぼそれぐらいになる。
それでも、店舗数を広げない意図があり、囲い込んだ顧客商売以外の業態であれば、店舗数の拡大によるメリットは当然大きい。
出店計画については、ここしばらく話題にしている人件費のアップや、人材不足の問題以外にも検討すべきことが多い。冷静に分析する必要がある。
自分のことを振り返ると、経営していた会社で出店数は全部で31、退店は8.退店理由で見ると3店舗は営業不振による退店。後はSCの都合と契約満了。営業不振の3店舗はMDのミス(新業態の失敗)と出店場所のミス。契約満了での退店理由は人員問題(販売員が慢性的に不足)が3店舗。デベロッパー側の会社都合はマスターリースしていたSCが出店場所を返却したためが1店とゾーニング変更に伴う代替区画の交渉決裂が1件。振り返ると失敗店舗は営業不振による退店の3店舗かなと思う。
出店時に考えることは当たり前のことだが、収益が出る物件かどうかということに尽きる。出店検討で必ず作成していたのは契約期間での収益予測。ここで考える必要があるのは普通の店のPLに加えて、投資の経費と償却を加味するということになる。
投資経費で大きいのは内装投資になる。経営していた会社ではまず経費計上分(10万以下の備品、30万以下の什器(※年間出店店舗数による))を内装投資の20%で想定し初年度に経費計上、年間減価償却は計算上(投資額-経費計上額)×30%で想定し試算していた。(当然実処理は会計基準に準ずる。)想定店PLから出店コストまで考えて検討はしていた。これで2年目からは単年度黒字を出店のハードルにしていた。ある意味高いハードルで出店計画をクリアしても退店はあった。
今は、出店のまず一番目のハードルは「人」(販売スタッフ)がいるかどうかになってくる。
さらに高くなった損益分岐点売上をどれだけ下げることができるかの賃料交渉になる。デベロッパーの認識が従来と変わらず、従来と変わらない条件提示だと、健全な会社は絶対出店していかないと思う。逆にデベロッパーは条件を下げてでも売り上げは上げてくるテナント、例えば歩率は下げても売り上げが上がることによってデベロッパー収益は減少しないだろうテナントを導入する必要が出てくる。
果たして今後デベロッパーは妥協してくるのだろうか?
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