以前、立ち上げた会社が何とかやっていけると思ったのは最初の2店舗の成功によるところが大きい。2店目が先日営業を終了したマリノアシティ福岡だった。最初の2店とも坪数は40坪強で間口の広い店だった。ピークには両店とも年間2億くらいの売上があったと記憶する。ただそこから出店した数店舗の数字は苦労した。
落ち着いて分析すれば、商品のSKUや在庫金額から考えて35坪~45坪の大きさが必要で、間口が広く、長方形かそれに近い店が一番フィットしていた。モール出店では、間口が狭く30坪以下の小型店で、さらに3階に出店すると失敗の確率は上がった。3階でもエスカレーター前とかはまだ戦えた。もう1つの基準として、競合になる店や、いつも数字を意識している店の売上を確認していた。それによって自店の数字の想定を立てることができる。
整理すると、昔運営していた店舗の出店場所としては、間口が広い店がベストで、モールであれば2階まで、そして35坪前後の大きさ。さらに、競合の売上を確認して提示された条件をもとに数値予測を作り社内会議をした。
数値予測は5か年(契約年数)の店損益を簡易なPL(損益計算書)で作成した。それによる店予測損益に投資経費として初年度に総投資額の20%を経費計上し、残金額を毎年35%償却したとして計算した。その数字を見て出店の参考資料としていた。
その数字に加えて、商品バッティングや競合関係、エリア特性(人的交流ができるかなど、特に人的マネジメント)を検討し、最終の細かな調整をデベロッパーとしてきた。出店の可否に関して、妥協して出店した店舗は、ほとんど成功しなかった。
内装投資や、敷金、その他のデベロッパーへの出店費用、品揃え商品費用や、備品経費を想定すると30坪~40坪の出店で2000万以上のキャッシュが出ていく。ぎりぎりで回している中小企業には大きな負担となるし、真剣に考えるべき事案である。キャッシュ残高によっては、借り入れも必要になり、実際出店ごとに融資を受けていた。さらに出店にかかわる経費は、出店投資だけでなく、それに付随する人的戦略への経費もある。転勤させると、その転勤経費や、住宅経費も発生する。さらにスタッフの募集経費も必要になってくる。
多店舗化することによって、商品コストの削減や、オリジナル商品にも取り組める。情報の精度も上がるし、社内の自信や社外の認知度も上がる。出店戦略が中小小売業にとっては企業存続の最も大事な要素になる。それだけに、出店の社内ルールを制度化し、感覚でなく数字でジャッジできるようにすることが必要だと思う。
出店店舗の成功こそ、次のステップへの礎になる。
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