9月にこのブログで、「ライトオンは自力以外での再生を模索しているのではないか」と書いたが、やはりワールド傘下での再生を、決算と同時に発表した。ここ数カ月、売場を見ていて、「数字が厳しくて何とかしなければいけない」ムードはなく、委託っぽいセール商品と秋色の商品を打ち出していた。全く商売に前向きさがなく、どこかがデューデリをしている雰囲気があった。

格安でもワールド傘下にならざるを得ないのは、数字上しょうがない状況にあったと思う。私は、常々「商売は在庫」と言っていて、いくらジーンズ中心でも回転率が悪すぎ、商品価値を高く計上しすぎだと感じていた。このブログの6月に書いたが、ライトオンも価格を見直し、上期決算で概算34億分の値段を下げて利益を大きく落としていた。当然ワールドもそこを指摘していて、今決算で店舗閉鎖の在庫分と併せてさらに大きく在庫評価を落としている。

簡単に計算してみる。決算短信によると、期末原価在庫が5111(百万)で決算売上総利益が39.9%なら、単純計算で期末売価在庫は8504(百万)になる。期首原価在庫+仕入原価―売上原価=期末原価在庫で計算すると10479+(x)+23343=5111となり仕入原価は17975となる。同様に売価も期首売価在庫+仕入売価―売価売上=期末売価在庫で計算する。(原価率から逆算する。)20190+(x)―30808=8504となり仕入売価は27122となる。仕入売価27122で仕入原価17975では商品値入率は33.7しかない。商品値入率を仮に50%で計算すると商品仕入売価は35950となる。つまり原価50%ですべて仕入れたとすると35950―27122=8828(百万)の値段を下げた計算になる。計算上は期首の売価在庫の40%強の評価を落としたことになる。(今後のことを考えて大きく評価を落としたかもしれない。)在庫評価をこれだけ落とせば今後の運営はずいぶん楽になる。

ワールドと組むことに関してはどうなのだろうか?ワールドしかなかったということだったと思う。ワールドとも私自身は長い付き合いだが、オンワードやイトキンと同様のサラリーマンの会社というイメージが強い。他のアパレルとは違い「会社」らしい雰囲気がある。もともとは専門店商売が中心で「コルディア」「ルイシャンタン」などを取り扱っていたが、DCブームから「タケオキクチ」「オゾック」「アクアガール」「アンタイトル」でヤング層を拡大し、SCが広がっていくと「TK」「ハッシュアッシュ」「シューラルー」でファミリー層への販路が広がっていった。当然百貨店ミセスゾーンは得意ゾーンだ。DCブームもファミリー層へのマーケットの取り組みも、現状を考えればうまくいったというイメージはない。

さて、どう取り組んでいくのだろうか?単純に考えるとマックハウスと取り組んでいる「ハッシュアッシュ」を投入しジーンズテイストを弱めていくのだろうと思う。ここ数カ月のマックハウスの数字も改善してきており、一番手堅いコラボになるのではないだろうか。ジーンズテイストを弱めてファミリー層ターゲットを打ち出していく方向だろうと思う。ただこれだけでは、ライトオンのいいロケーションの売場を手に入れるだけの事業構築になる。長く培ってきたライトンのジーンズカジュアルを、伊藤忠との関係でワールドがつながりのあるエドウィンとのコラボなどで、再構築を図ることも考えられる。ただジーンズカジュアルは完全にアゲインストの流れで、これはあくまでも可能性に過ぎないかもしれない。

ワールドとしては、格安で、340店舗という多くの売場を手に入れたので、現状ではあまり大きなことをせず、ファミリーターゲットに変更と事業の棚卸をして、売場と在庫の整理を急ぐと思う。ただ、ライトオンの源流であるジーンズカジュアルを見つめなおし、小さくてもいいので本質がわかる少しこだわった店も是非見せてもらいたい。

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