熊本地震でのイオンモール熊本の被害者になられた従業員の方々には追悼の意を表します。
原因はガス配管等の構造的なものもあるらしい。そして、イオンモールとしては点検を定期的に行っていたようだ。さらに、30分ですべてのお客様の避難誘導は終えたと発表している。イオンの吉田社長は、被害はお客様の避難誘導が終わってその後の事故で発生したと記者会見で述べている。では、どこに問題があったのか?
イオンモール熊本は全従業員2700人と発表されている。その所属先を想定すると、まずGMS(イオンリテール:ジャスコ)が150人程度。メンテナンス会社(旧イオンディライト)が多くて50人。施設運営会社(イオンモール)が多くて30人。その残り約2500人が、ほぼテナントの従業員ということになる。GMSは店長中心にリスクマネジメントは強固だ。つまり、SCのPM(プロパティマネジメント)をするイオンモールが約2500人のテナントスタッフのマネジメントしている状況になっている。当日は平日でもあり、1500人程度のテナントスタッフ数だったようだ。
SC、テナントのお客様は入館客だし、事故が発生すれば、まず優先するのは入館客の安全だ。30分で避難完了したのは、その考え方がデベロッパーとテナント双方同じだったからだ。避難完了後からテナントの命令系統に当然各テナント会社も入ってくる。テナントも、第一義のお客様の誘導が終わった後、当然、所属企業に連絡はする。当然、そこからの指示もある。さらに何も持たずに避難していれば、それを取りに売場に戻りたい。つまり、お客様の安全が第一義であったなら、従業員の安全はその次にはなる。おそらく、そこにテナントマネジメントのほころびが出た。記者会見では話してないが、多くのテナントの従業員は一度店に戻ったのではないだろうか?そういう事例は耳にしている。少なくとも数人ではないはずだ。お客様の誘導が完了すれば自店の状況を確認しようというのは、担当者として当然のことだ。
今回の事故で一番の問題は、SCの管理サイドの人数が少なすぎることと、その少ない人数でのテナント管理は非常に難しく、きちんと細かくマニュアル化されていなかったのではないかということだ。
過去、小売店を経営していて、自店には必ず月1度は臨店していたが、イオンモールではあまり、担当者と会ったことはなく、売場や館内では見かけることも少なかった。よく顔を見かけるスタッフはいたが、限られていた。イオンモールにも延べ15店出店していたので、おそらく感覚的には間違ってないと思う。不動産の流動化でファンド物件になったりすると、レポーティング業務が多くなる。そうなれば当然デスクワークが多くなる。つまり、本来の営業面支援が手薄になり、テナントとのコミュニケーションも少なくなっていたのではないかと思う。そのコミュニケーション不足が、一般客の避難終了後のテナントとの指示系統の緩みにつながったのではないだろうか。
イオンモール熊本の保有者を調べてみると、現状は「みずほリース」の連結子会社が保有している。それまでは「イオンリート投資法人」だった。つまり「みずほリース」が大家で「イオンモール」が転借、運営管理している状況ということになる。イオンモールとの契約形態は細かくはわからないが、PMやFM(ファシリティマネジメント)へは大きくはコストをかけられない状況であることはわかる。そして上記したように、イオンモールの業務は小売業への取り組みより、大家さんへの報告業務が多くなっているのだと思う。さらにイオンモールの収益を上げるにはコスト(人員)は増やせない。そういう積み重ねでテナントとのコミュニケーションが希薄になっていったと思える。
今回の惨事は、当然施設の構造上の問題が一番大きいが、イオンモールの対テナントへのマネジメントの弱さも露呈している。防災組織図よりも細かいコミュニケーションが必要で、オフィスビルメンテナンスと違い商業施設としてどうあるべきかを再度見つめなおすことが大切だ。商業施設としてより活性化できることをテナントと話し合い、提案実施し、各テナントと親密なコミュニケーションをとっていく事を主要業務として運営していってほしい。そうすることで信頼関係は強固なものになっていく。
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