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ライトオンは立て直せるか?

5月の小売業上場各社の既存店売上前年比を見ていたら、約半数の企業は100%超で堅調な数字だったが、メンズ色の強い企業が少し悪かったようだ。景気が悪い時に出る傾向で「お父さんのものは後回し」的な流れのようにも見える。中でも落ち込みが最も大きかったのはライトオンで既存前年比75.1%となっている。

ここ3カ月で見ると3月78.9%、4月82.7%、5月75.1%と低迷を続けている。ここ数年の業績悪化で、証券市場区分も去年の10月にプライムからスタンダードへ移行されている。

もともとはジーニングカジュアルを打ち出して大きくなってきた会社だ。ジーンズの追い風の中、売場も増え、売場面積も大きくなっていった。ジーンズ中心の売場は在庫金額が大きくなる。パンツのサイズもメンズでも27~34インチまで揃えなければならないし、中心サイズのストックを入れると1品番1色で10本以上の在庫が必要になる。近年はボトムのサイズ分類はアジャスターや脇ゴムでトップスと同じサイズで展開しているが、ナショナルブランドは依然インチ表示のままだ。一世を風靡したジーンズのボリューム感を持った店から、ファッションの流れの変化もあり、ライトオンも現状はジーニングテイストを持ったフル客層へのカジュアルショップに変わっていった。その環境下で商品量や値段で「ユニクロ」「GU」には太刀打ちできず低迷を続けている。

数字が厳しいので、買い物ついでで近隣のいくつかのSCで売場を見たのだが、迷走感が出ている。定番のジーンズもリーバイスも含めて割引商材が多く、特にメンズはセール品もアソートで取引先から借りているような商材が目立つ。ボトムに関して言えば基本デニムのリーバイス501が17000円の時代に売上を考えると品揃えもボリュームアップできない。レディス、キッズも在庫を抑えているのか、中途半端になっておりお客様は競合店に流れているように見える。

前期の決算書では売上前年比97.3%、売上総利益率48.1%(前年49.3%)経常利益-1046(百万)純損失-2545(百万)(前年-1166)、在庫回転率2.2回転(年)となっている。今年度上期は売上前年比86.6%、売上総利益率44.3%(前年50.1%)経常利益―1353(百万)(前年191)上期純損失―1617(百万)(前年―95)在庫回転率1.26(半期)前年1.12(半期)と発表されている。おそらく在庫過多を続けていたため、今期在庫縮小のための値下げを強行したが、在庫整理では売り上げアップに結び付かず、利益率を下げただけの状況だったようだ。この数字を見ると、現状の売場の状況は納得できる。

小売業の決算数字にはいろんなことが隠されている。ライトオンのように在庫整理をしたが売り上げに結び付いてないように、適正金額で商品在庫が計上されていないケースが多い。決算数字をよくするために在庫評価を市場評価と乖離させれば、悪い決算にならない。ライトオンも今上期に利益率を前年差-5.8%落として在庫処理を断行したが、売上前年比86.6%と大きく落としている。売上につながる評価にすればさらに利益率は落ち込んでいくと予想される。さらに不振店舗を削減するための除却損や、返却されるべき敷金と相殺される経費も大きく、数字が悪化すれば実数値は急激に落ち込む。まだ余力がありそうな決算数字だが、隠れているリスクも大きい。

再浮上させる策はあるのだろうか?

■今日のBGM

イオンモール浦和美園

見たい映画があり近隣では浦和美園のイオンシネマしか上映してなかったので行って来た。車で30分かかるので映画のタイミングでしか行く物件ではないのだが、またまた表題の物件について書くことを、ご容赦願いたい。

本当に潜在能力を感じるモールで、前回記したように交通の便もよく、行くたびに都市化が進んでいるように感じる。微妙な問題だが旧浦和市民をうまく取り込めれば、レイクタウンやコクーン、大宮駅前とは一線を画すことができるのではないかと思う。

今春、大改装を実施したようだが、収益が合わなかったのか、投資金額が抑えられていたのか、中途半端な改装になっている。物件のポテンシャルを誰も認識してないのかなと思う。この物件は都市型のRSCとして意識すべきだと思う。

まず、モールのグランドフロアのテナントの棚卸ができてない。契約期間の問題もあり移設はできにくかったのかもしれないが、誰かが腹をくくればできるはずだ。2階以上で展開すべきショップがそのままになっている。逆にその移設ができてないから上層階にまだ空床があり、上層階の魅力が上がってこない。ここでは具体的に記さないが、都市型のららぽーとなら間違いなく1階にはないテナントが多数あり、そのテナントがそのままになっている。

さらにユニクロ、GUを外部棟にするなら、ユニクロではなく外部棟のグレード感を上げてみることもできたはずだ(セレクトショップなどの誘致)。極論でいうと、モール棟での出店がユニクロと合意できないなら、イオンGMSの2階を渡せばよかったのではないか。(駐車棟とつながっているので出店メリットは大きい。)

イオン(GMS)の2階、3階だが、果たして合格点なのだろうか?前回改装した時(?)、感じたのだが、坪売りや効率がイオン内基準で想定されており、専門店や他の競合との基準とかなりかけ離れている気がした。つまりイオンではクリアされていても一般の土俵では全く戦えないのではないかということだ。「トップバリュコレクション」として改装されていたが、平場感をなくし立体感を見せただけで、商品のセグメントは変わっていない。以前より取引先との協業スペース(量販店販売員付きブランド)を大きめにとって自主MDの売場を小さくして効率を上げようとしているが、おそらく大きな変化はないように思う。イオンの平場から、次の「ユニクロ」「GU」「無印良品」を作るべきステップとして改装するべきだと考えるのだが、そういう話し合いの結果がこの改装なのだろうかと思う。この売場ならやはりGMSの非食品(特に衣料服飾品)はいらない。

店舗数が多くなると、個店、個のSCの位置づけが見えにくくなる。特にイオンのように上場企業になればコンプライアンスの問題もあり、責任者は同じ部署(SC)に長く駐在できない。そのSCを一番わかっているのはSCの責任者であり、本部のスタッフではない。 SCに思い入れをどれだけ持てるかで、物件の価値は変化する。SCの数も多く、責任者も在籍時の数字しか考えないと 、思い切った店舗戦略をとれないのかなと思う。

どこでも一緒のイオンモールと「ららぽーと」の差はそこにあるのかもしれない。

■今日のBGM・・・「トノバン」見てきた。このアルバムは学生時代大きなインパクトがあった。

生活雑貨店も大型化

改装した大型モールを見に行ったり、遠距離でなかなか行けないモールのフロアマップを見ていると、今まで衣料品の店が大型化していると感じていたが、生活雑貨の店も確実に大型化している。

従来から大型だった家電は超大型化している。100円均一、300円均一も大型化し、ダイソーやキャンドゥも大型パターンがあるし、スリーコインズもスリーコインズプラスとして大型化を図っている。住居品でもニトリとニトリデコホームと規模分けしているし、ファッションのアダストリアもラコレで大型化を図っている。従来からの無印良品、ハンズ、プラザ、フランフランワンズも大型化しているし、リビングハウスやアクタスなど家具&雑貨も出店が多い。服飾雑貨ととらえると、ABCマートも、インナーのチュチュアンナもグランデとして大型化している。

お客様にとって、商品量が多く選びやすくなっており、メリットもありそうだが、明らかにモールの店舗数が減ることで、いろんな店を見て回る楽しみがなくなってきており、大味なモールになっている感が強い。

このゾーンはイオンモールにとってはキーテナントのイオン(GMS)の受け持ちゾーンであり、ここまで大型テナントを導入するのであれば、GMSの食品以外のフロアは全く必要性がなくなってくる。昔イオンのリーシング担当者に「イオンでできないことをやってください。できないなら出店できません。」と言われたことを思い出す。イオンでできることをテナントがレベルアップしている。

このテナントの大型化はデベロッパー側のリーシングの難しさにつながっており、それにより以前に書いたように、デベロッパーとしての賃料収入は間違いなくダウンしてくる。小型店舗(50坪以下)での坪当たり賃料(固定)が、大型化されることで歩率になり、坪当たり単価は大幅に下がり、共益費も徴収できても坪単価は大幅に減る。共用部負担金なども徴収できないし、販促費も想定以下の契約になる。つまりデベロッパーの収益率は低くなる。逆に、大型化したテナントの坪当たりコストは相当に減る。

やはり「わざわざ」買いに行くべきテナントと、できるだけ多く選べる「単品量(SKU)」を持ったテナントが混在するのが大型SCの魅力であり、テナントの大型化だけでは魅力が増すとはいえない。そして、いよいよGMSはいらなくなっている。

■恒例の日経全面広告

イオンモール出店ゼロ

6月6日の日経新聞1面に標記の記事が掲載された。26年ぶりで、要因は人手不足と資材高騰との内容になっている。当面は投資を改装に振り向け、既存施設の売上を底上げするとのことだ。

このブログでも再三指摘しているが、現状のイオンモールには多くの期待はできないし、完全にマンネリ化しており、面白い物件の出店はない。既存物件もどんどん魅力がなくなっている。特にコロナ以降収益志向が強いのか、新しいチャレンジがない。

最近の国内の新店について振り返ると、2023年豊川が最新の出店になる。フロアマップを見る限り、リーシングには苦労している。特に3階は携帯ショップやその他業種、催事出店も多く、3階への集客は少ないと聞く。2022年の土岐はネットを見ると「退店が相次ぐ」とある。ジアウトレット北九州もオープンから催事空床が目立ち、好調という情報は全くない。2021年の白山は地元のセレクトとツタヤがポイントとなっていて、従来のイオンモールラインアップはすべて導入されており、一番充実したSCだがやはり商圏規模を見ても3層は必要なく、3階は間違いなく苦しいフロアになっている。川口は完全にオーバーストアのところに出店したSCで既存のイオンモール(旧ダイヤモンドシティ キャラ)と車で10分くらいのところにある。既存モールとのの兼ね合いで最初からショップMDは厳しい状況だった。川口も他のモール同様3階は今後テナントリーシングをしにくいのではないか。

投資コストと収益のつり合いが取れにくくなってきていることは、近年のリーシングを見るとわかる。GMSのイオン(イオンリテール)の家賃がどのレベルかわからないが、あの衣料や住居品で専門店レベルの売上や利益は出ているとは思えず、GMSのイオンが決算上収益を出しているのであれば、モールの家賃はおそらく優遇されている。イオンモールとしてGMSの家賃アップを求めるべきで、できないのであれば、食品以外の面積を返上してもらうべきだ。近年のイオンモールで無駄な3階をなくすことで、建築コストは減らせるし、非食品のGMSにテナントを入れることで収益も安定する。

中国の市場も厳しくなってきているし、不動産事業のイオンモールとしては、店子であるGMSをどうするかが大きな課題になってくることは間違いない。

■今日のショット ※伊豆、富士山1周してきた。この写真は外国人に人気の神社。富士山は雲に隠れていたが、観光客は95%外国人。

イオンモールとららぽーと

近隣のSCで将来的にRSCとして残っていくのは、「ららぽーと富士見」「コクーン」と「イオンモール浦和美園」ではないかと思う。(レイクタウンは30km圏なので除外。)

映画ついでに買い物に行くのだが、やはりららぽーとが一番魅力はある。商業面積はららぽーと8万㎡、コクーン7.8万㎡、浦和美園6.2万㎡、売上は、ららぽーとが490億、コクーンが390億、浦和美園が300億くらいではないかと思う。おそらく「ららぽーと」と「コクーン」の一騎打ちかもしれないが、今後の成長余力は浦和美園が大きいような気がしている。

浦和美園は近年開発が進んでおり、レイクタウンのあおりを受けてはいるが、今後のプラス要素は大きい。浦和美園が起点の埼玉高速鉄道は地下鉄南北線とつながっており、都内の四谷まで乗り換えなしで45分であり、埼玉スタジアムの恩恵も大きい。大学病院の計画もある。 現状は浦和市街地方面からは新見沼大橋1.4kmで150円の有料道路が便利だが(ほとんど迂回している)、あと数年で無料になる。無料になれば浦和市街地方面からも集客は増える。

しかしながら、イオンモールとららぽーとにはテナントMDで大きな差が出ている。もともとイオンモール物件でなくイオンリテール物件であったことも大きな原因だが、近年そのリーシング力の差は大きい。特にファッションテナントに大きな差が出ている。ららぽーとはベイクルーズやユナイテッドアローズを積極的に取り入れ、アウトドア系も充実させ、大型カテゴリーも抜け目なく導入している。注目ショップも続々と導入しており、大谷選手で話題の「ヒューゴボス」も出店する。イオンモールは春に改装を実施したが、大きな注目テナントはなく、好調テナント、生活雑貨系の大型化による改装のイメージが強い。ブランドへの流れと生活感のあるテナントへの流れはどちらが正解かわからない。トレンドを取り組むか、生活感を強めるかだが、そこでSCの位置づけは大きく変わる。

そもそも商圏的にどう見るかだが、富士見は車20分圏65万人、30分圏160万人と公表されており、浦和美園は商圏人口82万人と記されている。富士見はファミリー層が40%強でシニア層も27%と多いようだ。両SCとも浦和市街地からの集客がポイントになりそうで、富士見は荒川で分断されており、浦和美園は上述した新見沼大橋がネックになっている。どちらにしても比較的若いファミリー層が多い商圏と言える。

両SCで大きな差があるのは、GMSの有無だが、浦和美園イオンを見る限り、GMSの「イオン」は食品以外のニーズは非常に弱いと言わざるを得ない。もともとファミリー層の衣料品、生活雑貨はGMSが担うところであって、そのゾーンのテナントを拡大させているのは食品以外のイオン(GMS)のニーズが弱いということになる。レイアウト的に難しいがGMSの2、3階をファミリー衣料、生活雑貨系テナントにして、既存テナントを移設させ、その空いたところに少しトレンド志向のあるテナントを配置したほうが、SCとしては充実するのではないかと思う。やはりもう少し興味を持つようなテナントの導入が必要だと考える。イオンとして効率が低いGMSをそろそろ決断すべきだと思う。

ららぽーとも必ずしも買いやすいとは言えず、「サーキットモール」独特のサブ導線化(どちらか一方しか通らない。)したエリアはやはり魅力がない。さらにイオンモールに比べて都市型のモールであり、出店場所が限られてくるのではないかと思う。実際、比較的郊外のららぽーと(柏の葉や磐田など)は厳しい数字のようだ。近年はSMに「ロピア」などを出店させており、今後はデイリーの客層の変化もでてくるのではないかと思う。

「都市型」のららぽーとと、「地方郊外型」のイオンモールとして今後もすみわけしていくのだろうか?そうなればららぽーとの出店は限られ、大都市近郊のイオンモールの改廃が進みそうだ。

■今日のBGM

ファイブフォックス

ファイブフォックスの会長だった上田稔夫氏が亡くなられた。ファッション業界に一時代を築き上げた人物だ。ファイブフォックスはDCブランド全盛期の「コムサデモード」「ペイトンプレイス」などを展開していたファッション業界の大企業で、2000億超の売上で経常利益率もピークは13%あったとのことだ。

ファイブフォックスは黒を基調にしたモードファッション「コムサデモード」がメインブランドで、少し宗教染みた会社というイメージが強い。開店前に大きな声でスタッフ全員声を合わせて挨拶をしていたのを何度も見た記憶がある。商品の中に台紙を入れて同じ大きさに合わせて商品整理を徹底し、VP(演出)はモノトーン基調で固めており、さらに店内音楽はビートルズで統一していた。上田氏はファッションビジネスで大事なのは「商品」「店舗」「在庫コントロール」だと言っていたそうだ。全くその通りだと思う。

DCブームの後、 「野菜売り場の近くに大きな店を出せ。」との大号令で、「コムサイズム」を立ち上げ、脱ファッションビルで大型モール(GMS)に参入したのもファイブフォックスだった。「野菜売り場」はお客様が必ず通る。つまりデイリーのお客様の目につく一番の場所にファミリー市場の店を出した。この業態はファッション業界の常識を覆した。これが今のモールのファッション大型区画のスタートだったと思う。

昔の仕事柄、各ブランドの開発担当者と打ち合わせをしていたが、ファイブフォックスは冷たいイメージが強く、特に弱いデベロッパーには強気だったような気がする。売れているブランドはえてしてその傾向が強いが、大手だった「ビギ」や「ニコル」よりその印象は強い。それだけブランドの位置づけを大事にしていたのかもしれない。

コムサブランドはモードテイストの黒を基調としたMDブランドで、他の黒基調だった「ギャルソン」や「ワイズ」などデザイナーブランドよりクリエイティブさはなく、店舗イメージや演出、売り方を差別化させて、そこを武器にお客様を引き付けていたと思う。ただ、やはりモノトーンのMDブランドとして感じられてしまうと、ブームが去ると厳しい状態になっていった。現在年商が200億くらいということだが、それでもすごいと思ってしまう。売り上げの中心は「コムサフィユ」(子供服)ではないかなと思う。

商売哲学の「商品」「店舗」「在庫コントロール」については記事を読んで初めて知ったが、「商品」は小売業では共通だが、「店舗」「在庫」を意識していたことには共感する。あのレベルまで売場のイメージを固めてしまうと逆にマイナス要素になるかもしれないが、「おたたみ」のマニュアルや演出は驚かせた。コムサ憲法と言われるマニュアルがあると聞いたこともある。環境面を含めた店舗マニュアルは必要だと思う。「在庫」に関しては常々私自身も商売の基本だと思っているので、このブログでも一番ページを割いている。ファッションビジネスで大事なことと言っていたことには強く共感する。

改めて、デザイナーブランドでなくMDブランドで年商2000億まで育て上げた力量には時代背景もあったが、「すごみ」を感じる。

ただ、私はファイブフォックスの服を自分用には買ったことはない。

■今日のBGM

ファッション店舗は激減している

先月、知り合いの会社が株式譲渡された。ファッション小売店舗だが、一時は大型モール(RSC)中心に50店舗以上展開していた。譲渡時は10店舗を割っていたそうだ。大型モールは増えたがファッション関連の店舗は激減しているのではないか。個別にはMDや販売体制の問題もあるが、それ以前に店舗数が減っている。大型モールにファッションのニーズが少なくなっているのかもしれない。

大型モールの国内最初はどこか難しいが、現状のモール型は2000年のダイヤモンドシティキャラ(川口)がスタートのような気がする。その後、従来のGMSには入店しなかった「ワールド」「イトキン」「オンワード」など百貨店系メーカーや「サンエーインターナショナル」などヤングファッション系ブランドがディフュージョンブランドを大型区画で展開し、新しいモールのイメージを強めた。そこから20年経過しGMSを消滅させ、今は全国どこにでも点在している。つまり大型モールを引っ張ったのは都心から郊外へ広がったファッション店舗の力が大きい。

その当時立ち上げた「ワールド」のブランド「ショップTK」や「オペーク.クリップ」などは激減し「ハッシュアッシュ」はなくなった。イトキンの「avv」もほとんど見ないし、オンワードも「エニーファム(エニシィス)」もあまり見ない。サンエーインターナショナル(現TSIホールディングス)の「ナチュラルビューティベーシック」も大型モールへの出店スピードはダウンし、「&バイPD」はなくなった。いずれもメインフロアの大型区画にあり、大型モールの顔だった。

カジュアル系ではユニクロの国内店舗数は2019年817店が2023年に820店、同じくGUが421店から463店と大きな変動はない。アダストリアは国内2017年1220店から2023年1509店と増えている。大型ショップはほぼ横ばいだが、一世を風靡したストライプインターナショナルが2017年1400店から2023年には700店舗と半減している。ライトオンも2017年513店が2023年には373店に減少している。多くのカジュアル系の店舗は激減しており、それに代わって古着や値段志向の強いショップがやや増えてきている感はある。

逆に、1階のSMの近くには食物販のテナント、上層階には「100均、300均」や「携帯ショップ」など所謂「その他」業種の出店が増えている。さらに店舗の大型化が進んでおり、ユニクロや無印良品、ABCマートは増床出店が多い。どちらかというと必需品を大型化させているイメージは大きい。

ファッションが商業施設のイメージになる事は間違いない。新しいブランドを探し提案できなかった百貨店は、顧客年令が上がり衰退した。GMSも同様にお客様の年齢が上がって、デイリーウェアの品揃えの年齢も上がり、30代から50代の顧客を大型モールにとられた。中心客層が上がっていけば大型モールも同じ流れになる。すでにお客様は商業施設の使い分けはできている。新しいファッションの流れや新しいショップを探して導入していかねば間違いなく衰退する。常に新鮮であり続けなければ商業施設は淘汰されていく。

■今日のBGM

売場環境の維持…レイアウト・演出他

出店が決まると、売場図面の作成になる。店がオープンしてからもレイアウトや演出は売場の鮮度を見せる意味でも、大きなポイントになる。

レイアウトや演出も開発部中心に本部主導になっていることが多いが、間違いなく営業(特に店長)が中心になるべきだと思う。やはり「何を売りたいか」「どうやって売っていくか」は販売計画の基本で、それは現場により近いところで進めて行かなければ売場に「魂」が入らない。完全に店は作業だけで本部主導ですべて決定していけるのは、組織がきちんと機能している優良企業のみではないかと思う。ただ店に対するモチベーションアップの切り口は絶対に必要で、優良企業でも何か店が起因するプランもあると思う。

ストアメイキングマニュアルは各社にあると思うが、それは理想像に過ぎず、ほぼマニュアル通りにはならない。演出の仕方や陳列の仕方のマニュアルは当然あっていいが、最低限すべきことだけでいいと思う。例えば主通路の通路幅やサブ通路の通路幅、最高陳列量、最低陳列量など売り場を作るにあたっての基本を徹底し、あとは店に任せればいい。過去大手小売業で有名なコンサル会社を利用してVMD(ビジュアルマーチャンダイジング)を推し進めていたが、成功したとは聞かなかった。(すぐ崩れたので失敗だったと思う。VMDではなくVP(ビジュアルプレゼンテーション)に過ぎなかった。)やはり売場作り、演出も現場に近いところで進めるべきだ。

最後に、売場環境で一番大きなポイントになる内装だが、内装には大きな経費が掛かり収益に直結する。素材の値段も上がっており、人的コストも上がっている。簡単にいうとローコストでインパクトある内装がベストだが、安い原価の商品をなかなか高く売れないのと同じで難しい。商品の値段が高ければ高いほど、売場のグレード感は必要だが、商品がボリュームゾーンであれば値ごろ感ある内装であっていいということはない。多店舗展開の店は当然売場区画の大きさや商品アイテムや商品ボリュームも大きく変化しないので同一イメージ、レイアウトが望ましいが、店舗数が少ない店やエリアに複数店持たない店は、できるだけ印象に残る内装が欲しい。友人の店で作業足場を組んだ店や、鉄骨むき出しの店など工夫した店は面白かった。什器以外でも映画や音楽のテーマで売り場のイメージを出すなど考えることはできる。お客様に商品だけでなく興味を持ってもらうべき店にしてほしい。

近頃SCを見ていると、興味を持つ店が全くなくなってきた。どこに行っても同じ店があり、その傾向が強いので「わざわざ感」を持てない。デベロッパーのリーシングの面白さがなくなってきているのが最大の原因だが、実はテナント側からも興味を持つようなインパクトがなくなってきている。ファッションビルのデザイナーブランドの内装インパクトまでは必要ないが、MDも含めて興味を持てる店がなくなっている。逆にテナントゾーニングで「こんなところになぜ?」と思う店は多い。その多くはショップとゾーニングがあっていない。

出店する側も冷静に出店環境を精査し、お客様を引き付ける店づくりを考えていくべきだ。

■今日のBGM

本当に景気は上向くのだろうか?

GW期間中に近くのモールに買い物に行ったが、例年通りか、少し少ない集客だったように思う。行楽もあるし普通の土日よりも客数は少ない。

賃金を上げれば消費につながり、景況感は上がっていくと報じられている。経団連や同友会が給料を上げて引っ張っていくと言っているが、国民の労働者の大企業に占める割合は30%弱であり、大企業の下請的企業は中小企業の50%弱を占めるという。当然コストを下げると中小企業に跳ね返ってくる。円安の流れで輸出企業のメリットは大きいが国内向け企業は厳しくなる。「国外向きに会社の方向性を変えるとチャンスだ。」と経済評論家はいうが、そうするには相当の労力が必要になる。つまり労働者の70%の中小企業労働者の景気の恩恵にはしばらく時間はかかる。さらに年金受給者数は平成23年度で3600万人超となっており、総人口の約30%が賃金アップの対象ではない。

前向きな意見は多いが、後ろ向きに考えればいくらでも不安要素は出てくる。事実小売業の売上の上昇機運は低く、インバウンド需要や高所得者層以外に好調要素はなかなか見当たらない。特に中小企業はコロナのゼロゼロ融資の返済が始まり、友人の会社もM&Aをしたり、廃業したりしている。

4月の月次売上速報を確認すると、日祭日1日減でも前年越えの企業は多い。特にファッション系は気温が上がり初夏物の流れが良かったようだ。確認できた中では既存店売上で、ユニクロ前年比118.9%、ユナイテッドアローズ112.3%と2桁増の好調な数字となっている。ただユニクロは今期期首からの累計では99.3%とまだ前年未達となっている。ユナイテッドアローズも年度で見ると先月までの1年間で小売既存店は100.3%と大きくは伸長できてない。数字の流れが悪いジーニングカジュアルのマックハウスはレディス強化で95.5%と少し上向き、ライトオンは状況変わらず82.7%となっている。

大きなヒット商品もない現状、「総中流」の流れは完全に終わっている。大部分がユニクロで商品を納得して買っている現実の中、価格対応ができてない店はせめて付加価値のある環境(売場内装、演出など)を作って付加価値を感じさせる商品を売っていくしかないのではないだろうか?

また、当たり前のことを書いてしまった・・・ 毎日、新聞を読んでいるとずいぶん景気が良くなったように書いているけど、やはり読み物であって、暗い気持ちになる記事は避けているように感じる。新聞社も企業だし、悪いことはほとんど記事にしない。毎朝明るい気持ちになるほうがいい一日になるからかな?

■今日のBGM

利益率は商売の結果であるべきだ

前回書いた研修のプログラム「基本的数値の教材」の最後は「商品の回転率、回転日数の意味すること」で終わっている。「商品回転率が高く、回転日数が短いと不良在庫の発生が少なく、仕入れ活動がしやすく、新商品の導入や気候変化に柔軟な対応ができ、売場が新鮮になる」とまとめている。これが私自身の商売の基本にもなっている。

商売は現状COD(キャッシュオンデリバリー:金を支払ってから商品を納入すること)はほとんどなく、支払いサイトは現金払いでは一般的に月末締め月末払いでスタートが多く、最長2か月後最短1か月後の支払いになり、平均すると45日後の支払いになる。伸ばしても2か月後には支払いになる。(近頃手形払いはあまりないのでは?)つまり商売の理屈では商品を2か月で現金にして代金を払い、その差額が利益になるということになる。資金がなければその流れを繰り返して手持ち資金を蓄えていく。資金が回ってくれば銀行から融資もあるし、規模を広げていける。

PB商品や取引先との別注商品などが増え、「買い」の商品が減ってきているので原価率も下がり、回転日数が増えても利益には響かなくなってきているが、やはり回転日数が増えれば売場の鮮度感がなくなってしまう。つまり売場に変化が見えてこず、売場のイメージが変わってこなくなる。

回転日数の悪い商品をなくすために、商品の値引きをして販売する。値引き販売をすると利益は当然下がる。値引き販売をしなければ不良在庫が減らないし売上金が入ってこないので、新しい商品を仕入れられない。規模が大きくなってくると、利益を落とせなくなって、その状態で仕入れを続けてしまう。回転日数が増え、悪循環の始まりになる。どうしても利益率優先になってくる。しかし、ここで計上された利益率は実態とはかけ離れている。

イオングループから離れてファンドのもと再生を図るタカキューの2024年2月期決算の数字を見てみる。営業状況はわからず、あくまでも数字だけだが、利益率は61.4%(前年差;+1.5%)回転率3.00(前年3.36回転)売上高100.3億(前年比83,7%)となっている。前年の純損失は10,5億で、今年は店舗大幅減で人件費と家賃の削減で10億以上改善して約1億の損失になっている。現金は11億(しかない?)で債務超過は続き、危険な状況には変わりない。

回転率年3.0であれば1カ月0.25回転になる。4000万の商品で月1000万の売上を作っていることになる。支払いサイトを長く見て90日後支払いで設定しても、回転率は月度0.33回転しなければキャッシュは回っていかない。リストラにより規模縮小があり売上は減っているが、回転率は悪化しているので商品は売上に合わせて減っている状況ではない。商品が売れなければ商売にならない。利益率61.4%あっても売れなければ利益にならない。最近の専門店決算でも利益率はユニクロ51.9%、アダストリア55.3%、スーツ業界では青山51.1%、コナカ58.0%となっている。つまり売上は上がってないのに在庫は多く、利益率は高いままという構図が見えてくる。なぜ値段を下げて、売れてない商品を減らそうとしないのだろうか?

利益率を上げていくのは当然企業としての大命題だし、そこを目指していくことは当たり前のことだ。ただ売上を上げていくことがさらに優先されるべきであって、そのための手段として値段を下げて売っていくことも当然ある。商品が売れて消化されることによって、新しい商品を入れるキャパができる。そうすることがあって売場が変化し新鮮になっていく。

利益率は当然高みを目指していくべきだが、努力した商売の結果で算出された利益率こそが本来のあるべき姿だと思う。

■今日のBGM

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