「イトーヨーカドーが総菜で経営再建」というテーマで先日「ワールドビジネスサテライト」に数分間流れた。概要の一部だろうが、コメの質を変えるなどして総菜を強化していくとのことだ。食品売り場は変化してきており、所謂「ダブルコンコース」が広がり「生鮮+総菜」で差別化を図る戦略はどこの会社でも推進している。それでGMSの経営が再建できるのだろうか?
まず食品強化ということだろうが、SMの競合各社のレベルは相当上がっている。近隣に「ヤオコー」や「マルエツ」があるが大型モールのGMS(イオン)と比較すると商品力は格段の差がある。生鮮3品や総菜は完璧にSMの勝ちで、午前中に行くとイオンの生鮮の品揃えの遅さが際立つ。グロサリーやデイリー商材は売り場面積が広い分品揃えの幅は広いが、そこまで嗜好品を求めなければSMのほうがはるかにいい。なぜ大型モールに行くかといえば、まず駐車場が広くまとめ買いがしやすい事。さらに食品以外に定期的に見るテナントがある事だと思う。
前回書いたが、一定規模の駐車場があり、定期的に見ることができるテナントがあれば、NSC(ネイバーフッドSC)でもGMS(コミュニティSC)でも構わないと思う。つまりGMSに必要なのは当然SMに勝つべく食品と、定期的に見たい日常的なテナントが網羅されているかにかかっている。
イトーヨーカドーは「衣料品をやめテナントに変える」と当初発表していたが、現状はアダストリアと協業で「ファウンドグッド」を積極的に導入している。まずテナント導入についてはこのブログでも「できない理由」を上げた。おそらく賃料が合わなかったことと、売場の形状がテナントに向いてなかったことが原因だと思う。イトーヨーカドーという高収益体質の会社が賃料をどこまで譲歩できるかが課題で、賃料を下げなければテナントは積極的には出店しないと思った。賃料が譲歩できれば入るテナントはあったはずだ。さらにGMSはオープン年度によって、区画や仕様が変化してくる。古いGMSは天井高や導線が今のSCとは全く違う。天井の低い古いイトーヨーカドーに今のテナントはまずリーシングできない。アダストリアも自社ブランドなら出店しない店にも出店せざるを得ず、「ファウンドグッド」も売上にばらつきが出ると思う。その他のGMSの衣料品に関しても、イオンも坪売上10万もいかない衣料品を続けている。売場を新しくしても完全にお客様目線からずれている。
投資対効果で可能性は低いのかもしれないが、一度ユニクロや無印良品、ABCマートなど来店モチベーションが高いテナントと話し合って、建物の構造をどう変化すれば出店が可能かヒアリングすればよい。アリオに出店しているテナントと話し合えばいい。天井高や区画の形状を変えるのにいくら投資が必要か算出して、再度テナント誘致をするべきだと思う。
最後の手段は今のGMSの顧客をミドルレンジから、値段を意識する顧客に変更することだ。そのターゲットのテナントなら誘致できるはずだ。いつまでも減りつつある「中流」を中心顧客に据え続けているから再浮上はしない。なぜGMSが終わりそうなのかを冷静に考えればいい。
イトーヨーカドーの「食」の改善、イオンの「衣料」の改善、ともにお客様が見えていない。
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