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退店撤去費に思うこと

先日、友人からSC内で場所移動の話があり、移動は了解したようだが撤去工事の費用について電話があった。撤去は初めてでその経費の大きさに驚いたようだ。

撤去工事(原状復帰)については、おそらくいろんなところで不平不満がたまっていると思う。特にこの厳しい状況の中そこまでする必要はあるかということが多い。

まず、契約書で原状復帰工事の項目がどうなっているかだが、不動産系のSCは契約書でデべロッパー(以下デベ)指定の業者で撤去工事をやることになっているケースが多く見られる。(流通系はそういう指定はほぼなかったように思う。)まず、その見積もりが高い。おそらく流通系SCと不動産系SCのテナントへの考え方が全く違うことが起因していると思う。いろいろ書くことはあるが、不動産系SCと契約する時は、指定業者以外の業者(いつも内装関係をやってもらっている業者)でできるかどうかの交渉はする必要はある。契約文面はなんだかの形で変更してもらったほうがいい。

次に、現状は使えるものは使って出店するケースが多い。退店時に次のテナントの意向を聞いてもらって撤去範囲を確定してもらうことが必要だと思う。そこをきちんとつないでもらうように交渉する必要がある。

さらにできるかどうか可能性は低いが、使えるものは使って出店する場合、契約時に引き渡された状態を「現状」としてもらえればコストはさらに低くなる。「入店してもらいたい」、「入店したい」気持ちが、デべと出店者のどちらが大きいかだ。デべがどうしても入店してほしい時はその話し合いも必要だと思う。嫌がるとは思うが催事契約もありだと思う。

退店時の原状復帰での交渉が難航したことは数多くある。デべからの要望で多いのが、「撤去工事はデべでやるので、その経費をデべに払ってくれないか。」というもの。

撤去工事は例えば天井はスケルトンにして返却する(契約書上)。スプリンクラーもあるので脱着にコストがかかる。ただ現状大きく天井の仕様を変える後継テナントはない。ほぼそのままの状態で使える。後継テナントも使える什器や照明は再利用したいのでそのまま使うケースも多い。天井以外のことも加えると、おそらくデべの見積もり額と実際の撤去工事費では大きく差異が出る。その差異分テナントが多く払うことになる。その差異額はどう会計処理をするのか知れないが、そういう要求は普通にある。その時は「金は払うから、撤去した写真を、送付してほしい。」と頼めばいい。実際は使えるものは使うので、「再度細かく詰めていきましょう。」という流れになる。

本来の撤去工事は全くのスケルトンにして返す工事だ。昔のようにブランド、ショップの個性を打ち出した店であれば、デザインや仕様の変更をして出店するので、スケルトン状況が望ましかったと思う。ただ現状は天井や床や造作を大きく変えるケースは少なく、残せる部分はあり、それを利用したほうが出店コストが下がるなら、利用するものは利用する。

退店時の打ち合わせは一番いやな仕事だ。後ろ向きの交渉だし、なんだかの理由があって退店する。この件は契約書の問題にもなってくるが、今までの経験から、お互い話し合って納得して退店したほうが今後のためにも間違いなく望ましいと思う。

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在庫数値を意識する。

ここしばらくずっと考えていたことについて書く。

小売業の店での営業責任は、「売上」「利益」「在庫」だと思う。優先度順位はどの順なのだろうか?当然その3つの数字をクリアすることが仕事ということだが微妙にすべて関連している。またそのマネジメントも非常に難しい。

営業職として当然筆頭に来るのは「売上」。さてその次だが、ずっと思い続けていることだが、やはり「在庫」だと思う。商品の価値は売れたときに決まるし、売れる値段で決まる。売れる値段でなければ正しい在庫金額ではないと思う。売れる値段をジャッジするのが一番難しい。

売れる値段が仕入れ売価よりも低いと判断すれば、商品の価格を下げる。値段を下げて売れば利益は落ちる。価格を下げなければ利益は落ちないが売上にはならない。在庫は減らない。

営業予算作成時の重要順序は、「売上」「利益」「在庫」の順で「在庫」に関しては予算比に関して大きな追及もなく、予算作成も大きなチェックは入らない。

会社を経営して資金繰りを考えると、「売上」と「仕入れ」でキャッシュフローを考える。キャッシュフローを考える人は「営業」のスタッフでなく「管理」のスタッフのケースが多い。「売上」と「仕入れ」でほぼ「在庫」は決まる。大体の会社は「営業」の声が大きい。

普通に考えれば末締めの末払いだと商品代金は最短30日最長60日での支払いになる。ということは遅くても2か月で金に換えないと支払いができない。どれだけその会社にキャッシュがあるかだが、「管理」方はどれくらいで換金できるのが望ましいのか理解していると思う。そこからの声がどれだけ「在庫」予算に反映されているか?

私自身もずっと営業畑で育ってきた。ただ会社を経営し始めてから一番意識しなければいけないことは間違いなく「在庫」になった。冷静に振り返ると過去の失敗例はすべて「在庫の甘さ」に起因する。

商品が回転することで利益は回復する。在庫が多くて仕入れられなければ売り上げは上がらない。いくら高値入の商品を仕入れても在庫が多ければ利益の上がり方は遅い。在庫が少なければそういう商品を入れるとすぐに利益率は改善する。何より在庫が多いと商品は仕入れられない。

数値が改善せず苦しんでいる店は、まず「在庫」の見直しをしてほしい。商品をチェックしてほしい。入荷してからどれくらい売れたかアイテムごとにチェックしてほしい。

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「ミステリーショッパー」は必要か?

書類を整理していたら、昔のあるSCからのミステリーショッパーの報告書が出てきた。いつもこの報告書を見て不愉快に思っていたので、この件について書こうと思う。

ミステリーショッパーとはショップの接客度やクリンネスなどを調査する手法で、いわゆる「覆面調査」である。検査官がお客様のふりをして入店し、従業員の対応などを調査する。主に接客面の対応で各店の状況をレポートし、採点する。SCにはその得点で順位付けをして報告し、改善を促す。

常々この報告には疑問を持っていた。昔マイカルではこの点数が低いと店長には厳重注意があり、降格の1つの要素にもなった。ある店の点数が低く店長に厳重注意するように言われたこともある。その時の事例は「店内に大きな音のBGMで従業員は接客せず品出しや商品整理をしている。」という内容だった。昔のギャル系のショップで40代の調査員には接客はしないだろうし、若めの検査官?からは「働いているスタッフは楽しそうだった・・」旨の報告もあった。果たしてどちらが正しいのか?

今まで運営していたショップでは、理想はセルフで売っていくことだと言ってきた。そのためにプライス訴求や演出やレイアウトに気を使ってきた。当然のように明るく挨拶を行い、気持ち良い接客はするべきだとは思うし、それを含めた行動規範は作った。ただあくまでも仕事の優先度を考えて接客をするべきで、迷っていそうなお客様や商品を探しているお客様には声がけすることを優先事項として行動するようにも言ってきた。

言いがかりをつければ「調査だけして、買わない客」の調査員には接客せずにいることが正解だとも思う。自店を分類も「セルフ販売」にしてほしいと言っていたが、そうなったためしがない。「ブランドショップ」や「高年齢者向けのファッション店」と一緒の評価は必要ないといつも書いて報告書を返却していた。(会社確認印とコメントを入れて報告書は送付させられる。)

このごろSCの担当者を売場で見かけなくなったと書いたが、売り場を巡回していれば店の状況はわかるはずだし、経費を使ってミステリーショッパーをする必要もない。その経費はもっと使うべきことに使ったほうがいい。

SCを運営するスタッフが、もっと店内を巡回すれば必要ない経費だと思うのだが・・・報告事項が多くデスクワークが増えたのだろうな。

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そごう西武のストライキについて

もしストライキ決行なら、百貨店のストライキは1957年の福岡岩田屋のストライキ以来のようである。

池袋西武の解決口は見つかるのだろうか?セブンアイは百貨店事業をどうしていくのだろうか?

現状のそごう西武の店舗は10店で百貨店業態は8店舗のようである。百貨店8店舗の売り上げは2022年度で池袋西武1540億、横浜そごう949億、千葉そごう656億、広島そごう326億、大宮そごう265億、渋谷西武264億、福井西武97億、秋田西武65億となっている。ちなみに百貨店業態の売上利益率は22.9%と想像以上に低い。

30年ほど前だと思うが200億以下の百貨店はまず成り立たないといわれていたように思う。間違いなく、福井西武、秋田西武は赤字だと思う。土地建物の所有関係がわからないが、大宮そごう、池袋西武も赤字ではないだろうか。

ここで問題になるのは基幹店の池袋西武の存続のことになる。かつて池袋西武は百貨店No1の売り上げを誇っていた。間違いなくそごう西武の拠点である。

百貨店は取引形態も多種多様で、多くは消化仕入れ(人件費、内装費の負担等で掛け率も変わる)となっている。そごう西武の社員よりも取引先の社員のほうが多いかもしれない。

取引先も売り上げの大きな売場が欲しい。そういう意味で全国百貨店3位の池袋の存続が今後のMDに大きく影響する。池袋西武が今までの百貨店業態と違ったMDになったら横浜そごう、千葉そごうくらいしか存続できないのではないかと思う。つまり池袋にあるから、池袋に出店したいから、その兼ね合いで他のそごう西武の百貨店に出店している取引先が多いのではないかということだ。

つまり池袋西武の方向性でそごう西武はなくなってしまう危険性が高まるということだ。当然、従業員の仕事にも大きく影響する。取引先の従業員の問題もある。

冷静に考えると、百貨店は間違いなくダウントレンドだ。現状好調な店も、大都市である程度富裕層がおり、インバウンド客が多く訪れる立地しか成功してない。この傾向はまちがいなく続く。その流れの中でどうやって存続していくのかを労使で徹底的に話し合う必要がある。

セブン&アイには多種多様な業態がある。コンビニ出身のトップが百貨店や量販店、専門店をすべて理解しているとは思えないし、各グループのトップが大きな改善策を出しているようにも見えない。これだけ大きくなると、労使ともに向かうところが見えなくなってきて、全体感が見えてないというのが実情だと思う。

ストライキの件に関しては、百貨店事業をどうするか大きなターニングポイントだから、やってみたらと思う。一つの起爆剤にはなる。一般消費者にはそこまで大きな問題にならないと思う。投資家は一時の利益のために動いているだけで、将来像はない。高く売り抜けるだけだ。存続に関してはお互い歩み寄る必要がある。お互いの痛みは当然出てくる。現状の小売業を考えると絶対ウインウインはない。

だらだらと書いたが、「今後の百貨店像は何か」を当事者が徹底的に話し合うことが一番大事なのではないかと思う。ずっとやり続けてきたとは思うが・・・

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マクドナルド「都市型値上げ」に思うこと

飲食業界は門外漢なので、書くべきか迷った。ただ全国統一料金ではなくなるということはリーディングカンパニーとしては思い切ったことだと思う。

値上げの理由は「人件費高騰」「家賃高騰」「輸送費等のコスト高騰」とのことで、値上げによる経費吸収ということのようである。

「人件費高騰」・・・これは飲食だけのことではないはず。前回書いたように地方でも人件費はアップしている。都市部だけでもないように思う。

「家賃高騰」・・・これが一番納得できない。家賃は個別契約で、マクドナルドはおそらく他の店よりは優遇されているだろうし、改定時に強気交渉はできるはず。物件のオーナーもマクドナルドより優良なテナントは多くはなく、交渉の土俵にはついてくれると思う。開発担当者が、全店交渉すれば賃料ダウンはできるのではないか。

「他のコスト高騰」・・・どこに物流の拠点があるか知らないが、郊外店舗のほうが当然物流コストも高く、商品の回転率もよくないのではないかと思う。

おそらく、リーディングカンパニーとしての実験ではないかと感じる。もし値上げ分も受け入れられて、その分増収になれば今後値上げの理由として拡大していくと思う。

ネットの声も冷静な声が多く、非難的なものはそんなに多くない。

これがファッション業界ならどうなるか?

ユニクロが、都心店の値段を10%近く上げるだろうか?そしてそれは受け入れられるだろうか?飲食と違って定期的なものではないので、別に都心でなくても郊外で買うだろうか?

飲食業界はわからないが、今回のマクドナルドの値上げは、どうもすっきりしない。

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コストコ時給1500円の反応を見て

「コストコ時給1500円」については前回書いたが、そのニュースの有識者含めての反応の大部分は「今後企業は淘汰されるべき・・・」「さらに企業の低コスト構造を目指せ・・・」「現状は最低賃金にあぐらをかいている・・・」等コストコ1500円ウエルカムムードがほとんどを占めているようだ。

この流れの中では、これから小売業を起業する人は全く出てこないなと思う。

ファッション業界で勝ち組といわれる2社の決算書を見てみる。

ユニクロ 売上総利益率52.4% 人件費率16~17%(公表なし。他文献から)家賃比率11.6%

アダストリア 売上総利益率54.7% 人件費率17.8% 家賃比率14.4%

2社ともSPA企業で、ほぼオリジナル商品の商品構成である。すべて商品を企画して商品を作っての利益率である。個店ではまずできない数字だ。商品をメーカーから買う「買い」の商売だと平均すると原価は55%前後になるのではないか。20店舗近くなって別注を作っても原価45%くらいにしかならない。そうなると頑張ってやっと利益率は43~45%くらいになる。人件費率はかつて経営していた会社で17~19%くらいだったと思う。家賃比率は大きな面積を抱えるほうが下がるので個店ならさらに比率は上がる。

上記数字からユニクロ、アダストリアの労働分配率は約32.5%となり健全な数字だが、20店舗くらいで経営していても労働分配率は40%を超えていく。さらに小さな店なら家賃比率も高い。決して最低賃金にあぐらをかいているわけでなく、経営環境が現状を作っている。

もう1つ付け加えるなら郊外RSCは郊外だから賃料は低くなく、「イオンモール」や「ららぽーと」の出店条件のハードルは高い。

差別化できる店(例えばおしゃれなセレクト)をやればいいという声もあるが、その商品を売る環境(立地)、売る人、仕入れ形態を考えると単店はあっても複数店舗は厳しい。

結論としては、人件費高騰の労働環境では、小売業ではスタートアップできる企業はないということだと思う。商品力があり、キャッシュを含めた企業力がないと、土俵にすら立てない。

ずっと言い続けているが、今後は大手の各ショップのみのテナントばかりになり、駅ビル含めたSCは陳腐化していき、衰退していくことになる。

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小売業にスタッフが集まらない

群馬県のコストコではアルバイトの時給が1500円~(交通費別)ということである。調べてみると、社員、アルバイトとも時給1500円~とあった。

時給1500円で1日8時間、週5日働くと月4週で24万の給与になる。ほぼ社員としての扱いになると思うが、店に対する思いがないのなら破格の条件といえる。大卒初任給もそこまでない会社も多い。

一般の専門店で、商品が好きでそのお店で働きたいというスタッフが、果たして群馬県でこの給料を超えているのだろうか?給料が安くてもプライドで働いてくれるスタッフはどれだけいるのだろうか?

では一般の小売店で時給1500円で雇い入れて、利益が出せるのか?

ファッションの専門店では人件費率が15%以内、どんなに多くても20%以内だと思う。昔からある販売代行業(ブランドの洋服を販売するだけの仕事)の手数料は13~17%だった。さらに労働分配率(荒利益に占める人件費の割合)は40%前後が分岐ラインと言われている。

それを考えると、時給1500円でアルバイトを2名雇って一般的な30~40坪での店でスタッフ4名の人件費は最低1000千以上になるだろうし、店長等の社員をプラスして会社負担の経費(交通費、社保等)も加えると1400千から1500千の店の人件費になる。人件費率20%として月売上7000千、荒利率45%として労分率40%で計算すると8000千が損益分岐売り上げになる。

これは大きな数字で30坪80000千以上の年売り上げが分岐点になれば、何かを大きく改善しなければ構造的に無理な数字になってくる。

スタッフは集まらない、売り上げは大きく望めない、出店条件の緩和は厳しければ、もう出店もできなくなる。

果たしてどういう風に構造を変えていけばいいのだろうか?

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商業施設のPM(プロパティマネジメント)って何?

前回、「商業施設が金融資産になっていく」と書いたが、金融資産を守っていくためのマネジメントが必要で、それがプロパティマネジメント(PM)と呼ばれている。

何をするかというと、商業施設の運営管理全般である。メンテナンス関係は専門業者が入るとして、商業的な運営をどうしていくかがここでの問題になる。

イオンなど流通業もリートを組成して金融化しているが、こういう大企業にはメンテナンス会社も持っており、さらに当然小売流通のプロもたくさんいるので、運営管理能力は十分にある。ただ大手でも昔ほど運営に前向きさはなく、あまり担当者もSC内で見かけない。前向きに売り上げを上げていこうと協力してくれるSCは数えるほどしかなかった。

不動産、金融業が金融資産として持っている場合はどうなのかというと、短期的な収益アップを目指すためにルーチンの業務(販促、演出など売り上げアップへの施策)よりリーシング業務(空床を埋めること)を優先して、できるだけ早く賃料収入を上げることを優先させる。これはある意味当たり前のことで、そうしないと投資回収ができないからだ。

もともと商業施設のお客様は一般の来店客だ。商業施設のスタッフはお客様に満足していただくように運営し、その計画を立てていく。従来までの商業施設の持ち主は、流通系小売業の持ち主だったのが、これが金融系、不動産系に変わると一般のお客様との商売より、投資家との関係が優先される。施設運営業者はお客様が雇い主でなく、投資先が雇い主となる。お客様が喜ぶより、投資家が喜ぶことをする。

今話題の池袋西武の方向性についても、そこに乖離が出てくる。投資家は短期的に改善できればそれでいいが、百貨店としての改装はできないのか、街のイメージはどうなるのかとう問題が出てくる。金融資産としては早く収益を確定させ売却益を得たいし、百貨店はあるべき姿へ変えたい。街としてはグレード感を保ちたい。

商業施設の金融資産化を予測して、PM会社(上場子会社)を立ち上げた人から誘われてPM業に転職し6~7年役員として在籍していたが、本当にいい商業施設を作るためにオーナーと頑張ったのは1か所くらいだった(地方地元企業)。あとは商業とはかけ離れた、不動産業としての色が濃くなってきた 。

前回も書いたが、大手流通業の商業施設も含め、今後の商業施設が金融資産になるなら、いつか「ババ抜き」状態になり完璧に淘汰されていくと思う。

間違いなくPM業は流通小売業ではなく。不動産管理業になっていくと思うし、もうなりつつあると思う。

管理人より商売人のほうが好きだけどな・・・

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商業施設が金融資産になっていくとどうなるか?

日経新聞によると商業リートは割安感があるとのことである。

商業施設が金融資産になり、その収益をもとに売買される状況になりつつある。小売業が持っている商業施設はなかなか売買対象にはならないが、独立系のSCなどはオーナーがどんどん変わってきている。さらに短期間で収益を上げて売り抜けてしまいたいというニーズが強くなっている。

もともとSCはNSCやCSC,RSCの区分はあるもののエリアに根付いて商売をするところだ。利便性やファンを広げるためにいろんな施策を講じる。当然長期的なビジョンに基づいて大型のリニュアルも実施する。これが金融資産になると非常にやりにくくなる。

商業に従事する人間と、金融に従事する人間は全く違う人種だと思う。

例えば人気のショップを導入するには、ある程度そのショップの意見を取り入れなければならないことが多い。賃料を想定より安くするとか、内装の負担を減らす(内装費の協力をする)など、ショップを入れるためにすべきことを考えて検討していく。

商業側は、そのショップで大きく稼げなくても、導入する影響力での集客のアップやストアロイヤリティのアップを想定していく。当然金融側は見えない収益は認めない。さらにそこまでの大きな投資は、リスクを考えるとしたくない。部分的な小さな投資で短期的に収益をアップさせ、少しでも高く売り抜けたい。

運営経費も当然のように見直される。コストカットが収益アップにつながるもっとも簡単な方法だからだ。

以前在籍したPM会社では、いろんな商談をしたが、先方は「不動産+金融」のイメージが強く全く話がかみ合わなかった。話がまとまっても、主導権は当然のことながら先方にあり、完全に「請負業者」になったような気がした。実際そうなのだが。

今後は厳しいSCが多く出てくる。「ババ抜き」感覚になりそうな気もする。できるだけ小売業者に寄り添って、地元の期待に応えられる商業施設に向かっていってほしい。

難しいかな・・・

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「仕入れ」が「キャッシュフロー(資金繰り)」に大きな影響を及ぼす。

         

商売は当然商品ありきだが、現実的には「金」が回るかどうかになる。どれだけキャッシュがあるかを考えないと店は続かない。銀行も履歴が浅いうちは金を貸してくれない。

店を立ち上げるのにキャッシュが必要で、まずイニシャルコスト(また何かの機会に書く)はかかるが、そのあとの金の流れを考えることが大事なことだ。会社をやっていた時、一番気にするのはキャッシュの残であり、支払金額の確認だった。単純に支払できないと会社存続ができない。

以下簡単に一例を書いてみる。

洋服の小売店を3月1日に某SCに開業したとする。30坪の売り場を売価在庫9000千で立ち上げたと想定する。商品支払いが末締め末払いだとすると3月31日に原価分の支払いが発生する。仮に原価率50%とすると。4500千の支払いが発生する。次に人件費だが2人の社員を雇用し夫婦がその他の労働力とすると人件費4人分最低1000千(想定)の支払いが給与として月度内に発生する。その他備品等の経費が300千くらいかかると月度内にその金額が必要となる。入金は一般的なSCなら月2回払いなので最初の15日で賃料経費含めて売り上げが入金される。月度前半で3000千売れたとしておそらく入金は1500千くらいになる。(クレジット払いは末締めの清算が多い。)

計算すると入金1500千-商品代4500千-給与1000千-諸経費300=-4300千となる。つまり最初の営業月の末日にはさらに資金が必要になる。

次月度の15日にはクレジット分含めて入金されるので順調な数字であれば数か月後には回っていくと思う。

ということでオープンのイニシャルコスト以外に資金を持っている必要があることがわかる。ここに内装費や、敷金(資産にはなるがキャッシュアウト)、オープン必要経費(現場協力金など)のコストがかかると店を立ち上げるには大変な金額が必要となる。

店が稼働し始めると、資金繰りを考える上で、最も真剣になる必要があるのは、やはり「仕入れ」ということになる。想定のキャッシュイン(売上-施設での経費)内で仕入れをしなければ資金繰りが厳しくなる。誰でもできる「仕入れ」だけど、キャッシュアウトの大きな部分を占める「仕入れ」をどれだけ真剣にやるかが、小売りの成功の鍵になる。

今日のBGM

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