現状のイオンモールやららぽーとは流通業ではなく不動産業だと思う。
流通業出身者が多いが、設備管理の業務の比重が高い。もともとは会社が所有する物件を、売り上げを上げ、それに伴う賃料収入を増やすことが大きな業務だったが、現状はその仕事より、管理業務のウエイトが高いのではないかと思う。今までは、イオンモールや三井不動産の直営物件だったのが、現状はほぼリート物件やファンド物件になっている。そうなると業務内容が変わってくる。賃料収入を増やすための仕事ではあるが、当然不動産物件として、リートやファンドに報告義務が多く発生する。今までは流通業に通じる人たちとの整合で進めていたことが、金融業、証券業の人たちへの説明に変わる。投資や経費に関しても非常に細かい提案、報告が必要になってくる。当然デスクワークが増える。土日のお客様より、平日のオーナーへの書類対応が増えてくる。
最近では、各テナントとの交流が少なくなり、テナントのスタッフとの話し合いも激減しているし、何より店内(モール内)でモールスタッフを見かけない。販促もありきたりの合同販促が多く、新しい企画は全く見えない。
ということを、書こうと思っていたが、イトーヨーカドーの投資ファンドとの対立が、急浮上してきたようで、少し矛先を変える。
イトーヨーカドーは、小売業ではシステム導入が一番早く、利益に対する取り組みを最優先してやってきた企業で、他の小売業が「根性と努力」で拡大していったのとは違い、理詰めで大きくして言った企業のイメージが強い。だからこそ大型モール(RSC)への取り組みが遅れ、乗り遅れてしまった感がある。
「衣料品からの撤退とテナント化」を戦略に挙げているが、当然、今のままテナントを導入するのは難しく、魅力あるテナントの導入は容易ではない。イオンモールでさえ「ユニクロ」は撤退するし、いい場所いい条件を提示しなければ出店は難しい。売り場環境や、リーシング力も必要で、イトーヨーカドー本体でのノウハウがあるとは思えない。「アリオ」が成功していないのはイトーヨーカドーの「理詰め戦略」によるところは大きい。改装による投資コストとテナント出店による賃料収入が、今までの「衣料品」の収益を簡単には改善できないと思う。
投資ファンドは、株式や債券を長く持たないと思うので、即効性を求めてくると思う。収益を短期的に改善して「高く」売り抜けたいと思っている。 おそらく短期的には結果も見えないし、今後も対立は続くと思うので、現状の「テナント導入」くらいのプランでは決裂すると思う。
以前、現状のモール戦略は飽和状態で、今後はダウントレンドになっていくと書いたが、流通業がもう流通業でなく、不動産、金融業になってしまっているのが現状である。
総合スーパー「イトーヨーカドー」はなくなってしまうかもしれない。
■今日のBGM