商売は当然商品ありきだが、現実的には「金」が回るかどうかになる。どれだけキャッシュがあるかを考えないと店は続かない。銀行も履歴が浅いうちは金を貸してくれない。
店を立ち上げるのにキャッシュが必要で、まずイニシャルコスト(また何かの機会に書く)はかかるが、そのあとの金の流れを考えることが大事なことだ。会社をやっていた時、一番気にするのはキャッシュの残であり、支払金額の確認だった。単純に支払できないと会社存続ができない。
以下簡単に一例を書いてみる。
洋服の小売店を3月1日に某SCに開業したとする。30坪の売り場を売価在庫9000千で立ち上げたと想定する。商品支払いが末締め末払いだとすると3月31日に原価分の支払いが発生する。仮に原価率50%とすると。4500千の支払いが発生する。次に人件費だが2人の社員を雇用し夫婦がその他の労働力とすると人件費4人分最低1000千(想定)の支払いが給与として月度内に発生する。その他備品等の経費が300千くらいかかると月度内にその金額が必要となる。入金は一般的なSCなら月2回払いなので最初の15日で賃料経費含めて売り上げが入金される。月度前半で3000千売れたとしておそらく入金は1500千くらいになる。(クレジット払いは末締めの清算が多い。)
計算すると入金1500千-商品代4500千-給与1000千-諸経費300=-4300千となる。つまり最初の営業月の末日にはさらに資金が必要になる。
次月度の15日にはクレジット分含めて入金されるので順調な数字であれば数か月後には回っていくと思う。
ということでオープンのイニシャルコスト以外に資金を持っている必要があることがわかる。ここに内装費や、敷金(資産にはなるがキャッシュアウト)、オープン必要経費(現場協力金など)のコストがかかると店を立ち上げるには大変な金額が必要となる。
店が稼働し始めると、資金繰りを考える上で、最も真剣になる必要があるのは、やはり「仕入れ」ということになる。想定のキャッシュイン(売上-施設での経費)内で仕入れをしなければ資金繰りが厳しくなる。誰でもできる「仕入れ」だけど、キャッシュアウトの大きな部分を占める「仕入れ」をどれだけ真剣にやるかが、小売りの成功の鍵になる。
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