前回、「商業施設が金融資産になっていく」と書いたが、金融資産を守っていくためのマネジメントが必要で、それがプロパティマネジメント(PM)と呼ばれている。
何をするかというと、商業施設の運営管理全般である。メンテナンス関係は専門業者が入るとして、商業的な運営をどうしていくかがここでの問題になる。
イオンなど流通業もリートを組成して金融化しているが、こういう大企業にはメンテナンス会社も持っており、さらに当然小売流通のプロもたくさんいるので、運営管理能力は十分にある。ただ大手でも昔ほど運営に前向きさはなく、あまり担当者もSC内で見かけない。前向きに売り上げを上げていこうと協力してくれるSCは数えるほどしかなかった。
不動産、金融業が金融資産として持っている場合はどうなのかというと、短期的な収益アップを目指すためにルーチンの業務(販促、演出など売り上げアップへの施策)よりリーシング業務(空床を埋めること)を優先して、できるだけ早く賃料収入を上げることを優先させる。これはある意味当たり前のことで、そうしないと投資回収ができないからだ。
もともと商業施設のお客様は一般の来店客だ。商業施設のスタッフはお客様に満足していただくように運営し、その計画を立てていく。従来までの商業施設の持ち主は、流通系小売業の持ち主だったのが、これが金融系、不動産系に変わると一般のお客様との商売より、投資家との関係が優先される。施設運営業者はお客様が雇い主でなく、投資先が雇い主となる。お客様が喜ぶより、投資家が喜ぶことをする。
今話題の池袋西武の方向性についても、そこに乖離が出てくる。投資家は短期的に改善できればそれでいいが、百貨店としての改装はできないのか、街のイメージはどうなるのかとう問題が出てくる。金融資産としては早く収益を確定させ売却益を得たいし、百貨店はあるべき姿へ変えたい。街としてはグレード感を保ちたい。
商業施設の金融資産化を予測して、PM会社(上場子会社)を立ち上げた人から誘われてPM業に転職し6~7年役員として在籍していたが、本当にいい商業施設を作るためにオーナーと頑張ったのは1か所くらいだった(地方地元企業)。あとは商業とはかけ離れた、不動産業としての色が濃くなってきた 。
前回も書いたが、大手流通業の商業施設も含め、今後の商業施設が金融資産になるなら、いつか「ババ抜き」状態になり完璧に淘汰されていくと思う。
間違いなくPM業は流通小売業ではなく。不動産管理業になっていくと思うし、もうなりつつあると思う。
管理人より商売人のほうが好きだけどな・・・
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