新聞、テレビでは総裁選挙の露出がずいぶん増えてきた。過半数割れとは言え、そのまま総理大臣を選ぶ選挙になる。誰も、賛否で盛り上がる公約もなく、おそらく誰がやっても変わらないし、国内の動きにプラスの影響はなさそうな気がする。
国民全体のことではないが、小さな小売の会社を経営してきた経験から、国が中小企業に手を伸ばして欲しいことを少し書いてみる。
このブログでもよく書いているが、国内の企業数の99%は中小企業で、従業員数も70%を占める。売上高を見ると中小企業は全体の59.2%で、全体の経常利益に占める割合は22.7%というデータがある。このデータから見ると国としては「稼ぐ力」が強い大企業中心の政策にならざるをえない。中小企業は国から見て投資対効果は低い。経済同友会や経団連のニュースは多いが、中小企業庁の露出はほとんどない。当然重要度から見れば、大企業中心にならざるを得ない。ただ、小売業で言うとコンビニオーナーも会社化しているところも多く、大手コンビニも中小企業で成り立っている。ローソンの社長だった新浪氏は「時給1500円にできない企業は退出」と言っていたが・・・
まず、政策への訴求を強めてもらいたい。もう少し中小企業に行き渡るようにしてもらいたい。大企業には人がいる。いろんな制度や補助金については担当者がいて対応できる。さらに外部ブレーンを持っている会社も多い。中小企業はそれさえ知らないということが多くある。いろんな投資への補助制度や、賃上げ促進税制などの詳細をいち早く浸透させてほしい。メールでも郵便でもいい、必ず手に届くように対応してほしい。そういう制度があるということを知らなければ、対応さえ取れない。
さらに申請はできるだけ簡潔にできないだろうか?当然各企業の決算書は行き渡っていると思うので、決算書を見れば、会社の状況や姿勢はある程度読み取れるのではないだろうか。各企業の状況を把握して、歩み寄れないものだろうか?税務署と連動すれば会社の状況はすぐわかる。過去、助成金をもらうのに資料が多すぎて大変な労力だったことを思い出す。企業体質によって、提出資料の数を多少変動できないものだろうか?どうも補助金や補償金は「出したくない」が前提になっているように感じる。
最後に、大本命の小泉農林相の「5年後賃金100万増」についてだが、あくまでも国の補助があっての政策だと思う。前回出馬時も「給与が安い企業をやめて高い会社へ」という意見を主張したが、どうも現場感がなさすぎる。民間企業で働いたことのない人の政策だ。具体的な数字は公表できないが、以前経営していた会社に置き換えると、コロナ前で、月給社員に年間200千の給与アップをすることによって約40%の営業利益ダウンになった。そして毎年給与アップを続けることで、3年で赤字の危機がやってくる。赤字になれば補助金やいろんな制度は使えないことが多い。そして、よほどの改善がなければ収益は上がっていかない。仕入先があり、賃料を払って出店するビジネスでは、どうやって経費構造を変えればいいのだろうか?出店経費の削減はデベロッパーがあって難しいし、店舗人件費を減らすわけにはいかない。むしろ増える。出店しなければ店舗数が増えず、店舗が増えなければ、商品の原価も下げにくい。
ますます中小小売業の数は減っていく。それは国の思惑通りかもしれない。
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