タグ: 大型モールの狭商圏化

アウトレットモールと大型モールのダウントレンド要因

また話を蒸し返すようだけど、アウトレットモールにある、特にセレクトショップについて考えてみたい。「ユナイテッドアローズ(以下UA)」や「ビームス」のアウトレットは大手アウトレットモールにはほぼすべて出店している。店舗数は、全国でUAが30店、ビームスが20店舗、ベイクルーズは38店舗となっている。店舗数は少ないがトゥモローランド等も加えると相当な店舗数になっている。当然、純粋なアウトレット(売れ残り)商品であればこんなに店は出せないし、もしそうなら企業として利益はなくなる。つまり、アウトレット用に利益率を考えた廉価ブランドを作って売っているのが実情になる。

「グッチ」や「プラダ」などのプレミアムブランドはブランド価値を維持する必要もあり、アウトレットでの店舗数は大きくは増やせない。「どこかに出店するなら、どこかを退店する」という状況になっている。そうなると、アウトレットモールとしても看板ブランドを誘致する必要があるので、看板ブランドとして国内メジャーなセレクトショップのアウトレットを誘致している。その売り上げが好調なことから、店舗数がどんどん増えていく状況にある。

当然、それにはお客様も気がついている。アウトレットに行って、プレミアムブランドは「見るだけ」のお客様は多い。セレクトショップの名前で買えれば、それがアウトレット商品でなくても満足感はある。ただ、逆にそういう店舗が増え、その購買客層が増えてくれば、プレミアムブランドのプラス要素にはならない。そしてその結果、モールの価値観を上げるだけの「見せ筋」になったプレミアムブランドは退店していく。そして少なくなっていたとはいえ、プレミアムブランドを買っていた客層がいなくなり、普通のショッピングモールになっていきつつある。

アウトレットのパワーダウンと大型モール(RSC)のパワーダウンは同じ要因になっている。RSCはSM(スーパーマーケット)も併設しており、生活必需品の買物目的が多い。従来のGMSも同じだった。その大きな違いはテナントの圧倒的な数やカテゴリーの多さになる。ただ近年は、RSCの物件数が増え、都心近郊では車30Km圏に多数のRSCが乱立している。現状のRSCは「SM(GMS)+ユニクロ+無印良品+カテゴリー(家電など)+α」が成功パターンになっており、標準化されてきている。つまり、テナントのラインナップが類似してきており、それにより「わざわざ感」がなくなり、狭商圏化の傾向が強くなってきている。

RSCの売上規模を見ていると、イオンモールよりもららぽーとの施設売上が大きい。ららぽーとはSC数も少ないが、その違いはGMSがないことと、そのためテナント数が多く、さらにイオン系にないプレミアム感あるテナントが多いことがあげられる。例えばビームスの「ビーミング」、ジャーナルの「レリューム」「417エディフィス」「ジョイントワークス」などRSCへの実験的な取り組みでの出店もみられる。そして、GMSがないことを、客層ターゲットの広がりでプラスに展開している。近年のイオンモールは、レイクタウンのような大型化されたSC以外ほぼテナントのラインアップは同じで、「わざわざ感」がなくなっている。

つまり、アウトレットモールもRSCも「わざわざ」行くテナントがどんどんなくなっており、テナントリーシングが標準化され、それにより狭商圏化している。顧客ニーズのピラミッドのトップにある「プレミアム要素」や「トレンド要素」を持つテナントのリーシングは非常に難しい。賃料設定や出店エリア、ゾーニングに細かいチェックが入る。ただ、そのターゲットが削られれば、どこにでもある標準化されたSCになってしまう。

もうすでに、アウトレットモールもRSCもそういう流れになってしまっている。

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大型モール(RSC)の寿命 3

今年の1月に、この標題で2本ブログを書いている。その他のブログでも、大型モールに関しては悲観的な見方で書いている。ネットでAIに「ショッピングセンター(SC)の推移」と聞けば、「新規開業数は減少傾向であり、小型で生活密着型のSCが増加している」と答える。さらに、「テナント構成比は衣料品の割合が低下し、取り巻く環境は人口減少や建築費の高騰が要因で非常に厳しい」と答えている。

一番の要因は、テナントの新鮮さがなくなってきている事だと思う。これだけSCが増えると、どのSCも入店テナントが似てきて、テナントでの買い物をするためにわざわざSCに行くより、デイリー的な買い物で行く比率が完全に上回っているように思う。RSCのスタート期は大手アパレル(ワールド、オンワードなど)や旧DCブランド系(ファイブフォックス、サンエーなど)の百貨店以外へのチャネル開発もあり、テナントには新鮮さがあった。さらに路面店やファッションビルに出店していたヤングターゲットのテナントを積極的に誘致していった。つまりそれまでの「ダイエーと50の専門店」とか「イトーヨーカドーと70の専門店」といったチェーンストア目的のデイリー的なSCから専門店目的のSCへ大きく転換していった。ただそれから30年近くたち、テナントの新陳代謝は進んでいない。

では、テナントのラインアップが変わらない要因は何だろうか?現状上記したようなどこにでも出店しているテナントは大型区画が多い。「ユニクロ」「GU」「無印良品」「ABCマート」などは、区画がどんどん大きくなっている。大型カテゴリーとしての家電、書籍やニトリなどの住まい関連、ムラサキスポーツなどのスポーツ関連、さらに近年は100均、300均の店舗も大型化している。ファッション系ではアダストリアやパルの各ショップも大型化しており、アダストリアでは基幹のグローバルワークも標準面積を150坪となっている。他のほとんどのブランドも100坪前後の標準面積となっている。従来からの大手アパレル系テナントは100坪前後だし、付加価値のあるセレクトショップも100坪前後と大型区画としての出店が多い。

大型区画は一般的には、歩率契約が多く、最低賃料があったとしても単価は安くなる。以前の会社で約30坪の店が契約満了の際、再契約なしということがあった。売上は順調に推移しており、標準的な契約で賃料も安いわけではなかった。続ける意思はあったが、隣の大型区画を拡大するとのことで退店した。過去のリーシング経験からおそらく広がっただけで、固定賃料の増加はほぼなく、売上アップ分の歩率賃料増加のみがデベロッパーの賃料増になる契約だろうと思う。デベロッパーはその拡大区画だけを見ると、賃料ダウンにしかならない。当然そこには企業同士の思惑はあるが、どこかでその賃料ダウン分を埋め合わせしなければならなくなる。

大型店舗を導入すると、SC全体のバラエティ感がなくなってくる。当然複数店舗の固定賃料や共益費など合算のほうが、大型区画1店舗の賃料収入よりは大きい。ただ大型区画が、そのSCイメージを上げ、集客策としてはプラスになることもある。しかし、これだけ大型区画が増えてくると、50坪以下の標準区画への賃料にしわ寄せがくる。その結果として、出店へのハードルが上がる。標準区画への出店交渉が厳しくなった結果、出店コストがかからないショップや催事要素の強いショップが増えている。そして大型店舗が増えることでSCの個性がなくなり、狭商圏化が進む。

さらに賃料のしわ寄せによって、次世代のテナントが入店しにくくなっている。実際に、ここ数年大手企業以外で、興味を持つようなテナントは非常に少ない。内装経費上昇など出店するハードルもどんどん上がっている。各地域で成功して、全国展開していったテナントは本当に少なくなった。そういうテナント開発をしていくのもデベロッパーの使命だと思うが・・・

国内のGMSは約50年で淘汰が始まった。国内大型モールもおおよそ30年を過ぎようとしている。ラインアップが同じようなRSCが増えてくると狭商圏化し、淘汰が始まる。

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