群馬県の商業については非常に詳しいと自負する。今までの職業柄多くのSCを見てきたが特に群馬県は詳しい。群馬の4店で店舗勤務をしたし、高崎ビブレでは初代店長も経験した。ビブレは成功させたと思っている。
イオンモール太田(60500㎡)が大改装するようだ。ここはイオンモールの古い店で関東では成田の次ぐらいのオープンだったと思う。新しい物好きの群馬では大成功を収める。イオンモール初期の成功店舗で300億超の優良物件だった。その後20Km圏に300億超でさらに成功を収めた羽生イオンモール(75000㎡)ができ、同じく20Km圏に200億規模のスマーク伊勢崎(55000㎡)ができる。さらに30Km圏に足元が強いユニー系の前橋けやきウォーク(55000㎡)があり、40Kmと距離は離れるが群馬の中心に規模の大きいイオンモール高崎(76000㎡)ができた。イオンモール太田は今回の改装で76000㎡となり高崎と同等の賃貸面積となる。群馬には近年人気のコストコも前橋と明和にできている。
群馬県は車の保有台数が多く、1世帯当たり2.1台とのデータがあり、普通の商圏調査ではなかなか表せない。太田からでもおそらくイオンモール高崎くらいには普通に買い物に行っている。どこでも車で行くので「行きやすくて、停めやすい」SCが求められる。
今回の太田の改装についてニュースリリースを見たが、家電(ジョーシン)を入店させ、増床棟にフードコートを移設し拡大し、旧フードコートにダイソーを拡大して導入するということに尽きる。大工事をして別棟を建設し、賃料としては厳しいだろうゾーンを新規で入店、移転させている。大きな目玉は「ジョーシン」と「ダイソー」と「フードコート」ということになる。大型店舗の賃料は厳しいし、フードコートは共用部が大きいので収益面では厳しい。おそらく前向きに出店を考えるテナントは少なく、出店しても賃料は厳しい交渉になったと思う。
きつい言い方をすると、マイナスを止める改装というところだと思う。半年くらいは改装効果があるが、そこから大きく伸びていくと思えない。やはり太田市中心の商圏は変わらない。同じ金をかけるなら、もう少しエポックメイクがあっていい。営業時間や場所、内装、賃料などを全部先方に丸投げしてでも驚くようなことをしないとSCのインパクトはない。大変難しいと思うが、桐生の「STカンパニー」や高崎の「ギャレリア」など群馬の誇る会社はたくさんある。当然、食も住でもある。
先日、大阪であべのキューズモールに行って来た。ここには何度か出店の件で行ったし、出店したいSCだった。調べてみると,2018年のデータではイトーヨーカドー抜きで428億の売上となっている。出店場所さえ間違わなければ売れるだろうとも思っていた。郊外のRSCにはない少し都会的なSCのイメージがあった。川崎のラゾーナに近いイメージを持っていた。現状はまだ改装中で、全体がオープンしてないので結論は出せないが、全体的にボリューム路線になっているように感じた。話題だった「109」がもうプラスイメージでなくなっている。「アダストリア」と「パル」で押さえて、ここもダイソー大型化が打ち出されそうだ。核店舗のイトーヨーカドーが元気ないので、昔の少しハードルが高いSCのイメージはない。「109」を今後どうするかでSCのイメージは変わると思う。
キューズモールの改装もテナント大型化とボリューム路線への流れになっている。
RSCの収益は大型店舗で集客して、バラエティ感のある小型店舗(50坪以下)を多く導入して収益を安定させることが成功の大きなポイントの1つだ。コロナ以降小型店舗の出店が大幅に減っていると思う。大型店舗が多いと、ある意味モール自体の面白さがなくなるし、競合SCとの差別化もできない。広域商圏のRSCがどんどん商圏を小さくしている。
各RSCの体力勝負になるような気がする。
■今日の1枚(近くの公園の河津桜)