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大型モールの寿命 4

大型モール(RSC)のリーシングについて、今後やっていくべきことを書こうと思っていたのだが、全く文章が続かない。現状の環境下では、新しい個性あるテナントのリーシングは非常に難しい。RSCはもう行き詰っているのかなと思う。

現状RSCでは今までのGMS(総合スーパー)の役割のウエイトが上がってきたのではないだろうか。つまり、生活必需品を買いに行くのが大きな目的になってきていると感じる。そして、もともとGMSの取扱い業種が自主売場からテナントに取って代わっただけという風にも考えられる。食品は自営もしくは大型テナント、衣料品は「ユニクロ」に、雑貨が「無印良品」に、その他は大型カテゴリーである「住居品」「家電」のテナントに変わっていっている。昔はGMSが1社で構成していたのを各カテゴリーの強者での集積に変わったというだけのことだ。つまり現状のGMSに食品以外の売場は必要なくなっている。特にイオンモールはGMSが必要ないということに早く気が付くべきだ。余談だがイトーヨーカドーが「GMSをCSC(コミュニティSC)に変革する」といったのはこれを指している。

そしてRSCの専門店ゾーンは、過去GMSの専門店に加えて、グレード感を持ったテナントや個性を打ち出した専門店を導入していった。これは地方駅前にあった百貨店やファッションビルが移設されたと考えればわかりやすい。そのため地方駅前商業の窮状化は進んでいった。ただ現状そのテナントラインアップ、取引先に大きな変化はない。

そういう中で、RSCが生まれた1990年代からの中心客層に大きな変化が出てきた。年齢別人口構成が大きく変化している。以前書いたが、国内の人口は30年前と比べると98.1%と微減だが、60歳以上は181.5%と大幅に増加しており、人口構成比は19.3%から35.4%となっている。高齢化は顕著で、おのずと個性化された商品より生活必需品への消費は増えていく。

そうなると、差別化ができるテナントへのリーシングが非常に難しくなっている。大型カテゴリーのテナント導入を優先するあまり、適切な環境へのリーシングが難しくなり、さらに賃料面も優遇できなくなってきている。つまり大型区画、低賃料でのカテゴリー導入のひずみが出てくる。差別化できるテナントは、高年齢化が進む中、中心ターゲット層が減少しており、よりマイナー化が進んできている。ただそのテナントがあるだけでそのSCのテナントへの評価は上がり、SCの価値も上がってくる。そして、そういうテナントはどんどんRSCから消えていっている。

現実的な目でRSCを見てみると、ららぽーとは大都市圏での出店が多く、地方百貨店化しているように見える。トレンドへの取り組みも随所に見られる。その反面、立地的に大都市周辺でしか成り立たないのではないかとも思っている。つまり出店立地が限られてくる。

イオンモールはGMSを続ける限り、RSCではなく大型SCとしての位置づけになる。現状も規模の大小以外、各SCのテナント揃えはほとんど変わらない。さらに商圏の重なりが多く、大きなGMSとしてのニーズになり、自社間での競合となっている。小売業を生業としてきたイオンの社長が「これまでデベロッパーやドラッグストア、総合金融業で得た利益を小売りが相殺してきた」と言っている。もうそろそろGMSに見切りをつける時期だと思う。

そうこう言っているうちに、RSCも衰退期に入ってしまっている。

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GMSをCSCに変革する

セブンアイホールディングスの関連会社になり、ベインキャピタル傘下で完全子会社化されたヨークホールディングスの社長が9月3日戦略説明会を実施し、「GMS(イトーヨーカドー)をCSC(コミュニティショッピングセンター)に変革する」と発表した。

これは常々このブログで主張していたことで、崩壊状況にあるGMSを解体して、GMSの物件を「SM(食品)+必要とされるテナント」化していくことを意味している。この考えには、大きく賛同する。現状は狭商圏下でもRSC(大型モール)が出店を加速しており、40年~50年前のGMS(総合スーパー)の過密期とよく似ている。

すでにGMSは崩壊状態にある。現状でも、GMSでは食品以外の業種は生き残っていない。GMSの衣料品は「ユニクロ」に勝てない。住居品は「ニトリ」に勝てない。雑貨は「ダイソー」「3コインズ」で間に合う。食品以外トータルとしても「無印良品」には勝てない。GMSが優っているなら、なぜ、「ユニクロ」や「無印」に負けないMDや売場ができなかったのか?二番煎じの取り組みへのプライドの高さや、大きい組織でのジョブローテーションが弊害となった。

「GMSのCSCへの変革」でイトーヨーカドーはSM(食品スーパー)として再構築し、その他の業種はほぼなくし、立地に合わせたテナントミックスをしていく方針になる。GMSとしてエリア分析は細かくやってきたと思う。その分析を素直に使えばいい。おそらく、今までは少し目線を上げてチャレンジ要素のある顧客戦略を実施し、それに合わせての商品戦略や販売戦略をしてきたと思う。再度一番多いエリアや客層を分析し、素直にCSCとしての戦略を考えることが最も重要だ。つまり、過去の成功体験は捨て、GMSとしてのプライドも捨てる。もう収益率がトップだったイトーヨーカドーではない。そのプライドを捨てられるかも大きなポイントになる。

CSCに変革するうえで、個店に合わせたテナントリーシングをすることも重要だが、基幹事業のSMとしてどれだけ効率を上げていくかも大きな課題だ。CSCとしてテナント誘致しての賃料収入にはSMの賃料も当然入ってくる。CSCの収益の大部分を占めるSMの賃料次第では理想的なテナントリーシングもできない。SMの賃料の設定がテナントのレベルを変える。SMの賃料を上げれば、リーシングの幅が広がるが、SMの収益が下がる。逆だとリーシングの幅が狭まる。SMの賃料が商業施設を維持するための最低賃料の攻防になる。そのためにはSMの業績を上げることが大前提ではある。

テナント側はいろんな出店事例を持っている。その事例に沿っての条件を見極めることが必要だ。決してSMの賃料ありきで条件を決めない。譲歩できる最低のラインで必要なテナントを導入することを優先すべきだ。例えば「ユニクロ」や「無印良品」の出店条件が低くても、集客力はSMより大きいかもしれない。いろんな販促を実施するより、テナントとして出店するだけで大きな販促効果が出ると思う。さらに個店で販促もしてくれる。その経費を考えれば賃料に加えて大きなプラス効果がある。

今後は、デベロッパーとしての会社が鍵となる。テナント管理する会社は発表されているが、その会社が賃料の決定権を持つのか、食品SMとしての賃料をどう算定するのかなどクリアするべき事が多くある。SM中心のCSCを運営する会社になれば、おそらく社内要員を大幅に減らす必要もある。人事管理面でも大きな問題を抱える。つまり、今までのイトーヨーカドーとは完全に決別しなければならない。

この戦略については、ずっとこのブログでも言っていたことだし、100%賛同する。しかし本当に大きな覚悟が必要になってくる。いつまでも「RSC+GMS」を続けるイオンより早くCSCへの変革、開発を急ぎ、成功させてほしい。

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