月: 2026年8月

「売る」責任と「仕入れる」責任と「コントロールする」責任

晩期の売場を見ていると、企業の状況がよくわかる。特に商品コントロールのやり方で企業力は出る。姿を消していった企業はここでのミスが多い。「売る責任」も大きいが「仕入れる(作る)責任」も大きい。そしてそれをコントロールできて企業は成り立つ。

昔、「ビブレ」という業態に在籍した。他のファッション系SCとの大きな違いは、自主MDでの売場が多かったということだと思う。開発型ショップを入れると50くらいの売場が自主MDだった。壁面を背負ってのブランドオンリーショップは取引先出店が多かったが、品揃え型店舗や、大型区画は直営展開が多かった。そうすることによって賑わいも出て活性化が図れた。つまり、ブランドで集客し自主売場で稼いでいた。自主売場には本部のMD担当者がいたが、主用業務は全店共通の商材を手配し、その売場の数字を管轄することだった。ただ、店の大きさにもよるが、店担当者の仕入れ権限が大きかった。店舗数が増えていく中で、仕入技術の問題や、当然のように売上の大小で、店舗間格差はでてきた。晩期は自主MDでの弊害の方が大きかった。

自分で店を始めてからも、店仕入を中心にスタートした。当然集約して展開する商品は本部でまとめて発注したが、その比率は低かった。何より、店舗数が少ないうちはまとめて発注するメリットは小さい。ただ規模が大きくなるにつれ、店仕入中心では厳しくなってくる。

小売業は回転率を考えて、売上予算と在庫予算を決定する。このブログでも再三書いている。商品を仕入れてその商品を売って、取引先に仕入れ代金を支払う。一般的には末締め翌末払いの条件が多い。ということは2ヶ月で完売すれば利益は残る(売価-原価)。掛け率50%なら2ヶ月で半分売れれば支払いはできるが、儲けは出ない。そして、その儲けで経費を払う。回転率が低い商品(高額商品等)や回転率の高い商品(セール商品、定番商品等)があって全体の回転率が計上される。売価在庫で図る時は、回転率は売上÷平均売価棚卸額(在庫)で計算できる。その数字が0.5なら2ヶ月で商品が入れ替わるということだし、0.33なら3ヶ月ということになる。いろんな仕入れ形態はあるが、立ち上げた会社では月度回転率0.5を目標にしていた。同じように上場企業ではパルグループが回転率を重視している。

ただ、仕入れ担当者にそこまでの数字感覚があるかどうかだ。自分の懐は痛まないし、「売りたいものを仕入れたい」と考えるのは自然なことだ。財布の中の金額を気にしないで買い物をすることは楽しい。そこに大きな問題がある。当然、売場提案を実施するが、そこに信頼関係がなければ、「売る側」は押し付けられたと感じることも多い。

そこで「仕入」と「販売」をコントロールするポジションが必要になる。小さい会社なら社長がやるべきだ。そして、ある程度の規模になれば必ず必要なポジションだ。商品はわからなくても数字でジャッジするスタッフが必要だ。どの商品群が回転率を落としているか、そして回転率を適正にするためにどうするかをジャッジする。当然回転率を上げるには、商品をなくしていく事になる。商品をなくすのは返品するか、値段を下げて売り切るしかない。つまり「在庫」をコントロールするポジションが必要になる。

そこで「売上」を優先させるか、「利益」を優先するか、「在庫」を優先するかを決めるのが経営だ。「売上」を優先させれば「利益」は落ちるし「在庫」は減る。「利益」を優先させれば「売上」は伸びないし「在庫」も減らない。そこをジャッジするのが、経営の一番大事なことだと思う。結局、昔在籍した「ビブレ」は経営危機になり、キャッシュを得るために「売上」を優先し、「在庫」を減らし「利益」を減らした。そして倒産した。

小売業は「売上」「利益」「在庫」をきちんとコントロールできる体制を持った企業しか存続できない。

■今日のBGM

イオンモールにGMSはいらないけど、GMSがなければ成り立たない

なぜだか、お盆時期は買い物も多い。量も増えるので近くのイオンモールへ行く機会が多い。例によってポイント10倍だし、15日は年寄りの日だから・・・ただ近隣のイオンモールを見ていると、回遊しているのは高齢者が多い。本来、中心ターゲットになるべき30~50代は目指す店が限られているように見える。

イオンモールにGMS(量販店)は必要なのだろうか?イオンモール北戸田を見ていると、GMSには自分を含めて高齢者しか回遊していないように見える。特に改装したファッションのフロアは失敗だったように思う。完全にシニアターゲットになってしまった。そのため中心ターゲットになるべき客層が、「ユニクロ」「無印良品」に流れる結果になってしまっている。さらに家電大型店「ノジマ」を導入したため住居品の売場も縮小され、スタッフも少なくなり、買いにくくなってしまっている。おそらくGMSとしては完全に1階の比重が上がっている。つまり、GMSというよりも、足元客が多いため「食品」「HBC(ヘルス&ビューティーケア)」中心の店になっている。極論すれば、食品売場に標準的なインナーや、日用品の陳列台を作れば、2階、3階はもっと縮小できる。つまり、GMSは必要ない。

テナントはどうか?2層で充分だろう。GMSの縮小改装があり大型家電を投入し、携帯ショップ、催事などでテナントの穴埋めをしているが、本来のモールのリーシングではない。「ユニクロ」「無印良品」「ABCマート」などおなじみのテナント以外新鮮なテナントはない。特にメインフロアの1階のテナントが弱い。おそらく今のテナント揃えでは広域から集客できるテナントはリーシングできない。

つまり、「GMSも必要ないが、GMSをやめるわけにはいかない」という流れになってしまっている。売上もモール全体で200~250億ぐらいではないか。

近隣には「川口前川」「川口」「与野」のイオンモールもある。「川口」は数年前のオープンだが、大型物件の「川口前川」がすぐ近くにある。テナントも「川口」より大型化しているが重複しており、GMSも従来のイオンのセグメントではなく、さらに効率重視のフロア構成になっている。商圏面でも「川口前川」より浅い。数字も厳しいようで、モール全体で200億にも届いていないのではないか。「与野」は大宮駅商業施設、440億超SCの「コクーンシティ」には勝てず、ここもモール全体では200億には届いていない。テナントは大型区画や催事などで何とか埋めているという状況で、GMSは食品拡大戦略で「食」「ドラッグ」への完全シフトの感が強い。日本のモールの先駆け的な「川口前川」は350億強の売上があったが、自店競合やアリオ、ララガーデン等の進出もあり、老朽化も相まって、もうすでに250億前後まで落ち込んでいる。過去出店していたこともあるが、GMSの1階(食品、HBC)が強かった印象はあるが、テナントは競合に押され気味で入れ替わりが激しくなっていた。

近隣のイオンモールを見ていると、完全に売上規模はRSC(リージョナルSC)からCSC(コミュニティSC)になりつつある。そして店舗規模は変わらず、商圏は小さくなっている。店舗規模が変わらないなら、RSCからGMSがなくなるとSCが成り立たない。

いろいろ書いてきたけど、結局はGMSがなくなればイオンモールも窮地を迎えるってことなのか・・・

■今日のBGM

雑談➁ 初めて商売をやって感じたこと

お盆時期で、企業発のニュースが少ないので、商売についての個人的な経験を書く。

断片的に何度か書いたことはあるが、商売をやらせてもらえたのは33歳くらいだったと思う。大手GMS(マイカル)にいたので、それまでも当然小売りの基本的なことはやってきた。当時は、マイカルが量販店の業態変更を始めた時期で、関東でその1号店だった高崎店のフロア改装だった。物販では最上階の6階はDCブランドのフロアで、改装オープン時は地域特性もあり3.4番手のDCブランドしか交渉できず、その後は当然売れず退店が続いた。オープン時から催事展開のショップもあり、2.3年で半分くらいは退店した。200坪位の面積は空床だったと思う。当時は本部で開発担当のバイヤーをしており、計画を立案した。50坪位を「ポイント」(現アダストリア)に他のビルから移転してもらい、残り150坪を自主MDでの提案だった。「ポイント」にはマイカル直営からのMD変更要請があり、交渉の末、デニムはリーバイス501のみで他は「アヴィレックス」「アルファ」などブランド中心でのMD展開で出店してもらった。自主売場は、その当時はやり始めたインポートブランド中心で品揃えした。

もう詳しくは覚えてはいないが、自主売場の数字は平均在庫35000千前後、売上年間100000千弱、利益率は25%程度の悲惨な数字だったと思う。内装投資は西武シード館を真似て無理強いをして稟議を通してもらった。完全に在庫過多で月8000千の売上と考えると回転率は月度0.2回転くらいだった。当然のように、値下げ金額も大きく、なおかつインポートブランドの買取商売だったので、大きな赤字売場になった。営業会議でもあきれられていたように思う。ただ量販店なのでブランド商売には口を出しにくかったようだ。ちなみに、隣の「ポイント」は年間2億近くの売上はあったので改装効果としては大きかった。

まだまだ、インポート(ライセンス)ブランドは地方ではあまり取扱いが少なく、当時のメインブランドは後にメジャーブランドになっていく。「ポールスミス」「マーガレットハウエル」「キャサリンハムネット」など。卸での販売になるので、掛け率は厳しく65%の完全買い取りがほとんどだった。インポートデニムも揃えたので在庫は当然膨れる。その後掛け率交渉はしていき下がってはいったが、やはりブランド品揃えでは儲からなかった。高層階でインパクトを与え、商業施設のイメージアップのためと考えるしかなかった。さらに、お客様には最低限「ブランドの世界」は見せなければならないので、ある程度の在庫を抱える必要が出てくる。個人ではなかなかこういう商売はできないし、考えもしない。その後いろんなブランドから品揃えの話はもらったが、あまりブランドを広げることはしなかった。さらに、儲けるために国内のセレクトショップに卸しているMDブランドの取引先とも商売をしたが、ブランドでなければ商売にならなかった。のちに有名になるブランドも多かったが、結局は取引先との信頼関係があり、条件交渉ができなければ成功は難しいと感じた。おそらく、モデル店舗の西武シード館も収益は計上できなかったと思う。ただ、高崎店はこれをやったおかげで、新しいブランドが目を向けてくれるようになり、収益店舗になっていったと思っている。商売はうまくいかなかったが、企業として、商業ビルとしての注目度は上がった。

そしてその当時感じたことは以下の通り。

  • 自分の金では、ブランド商売は絶対にできない。
  • 大企業の社員の商売は小売だけではない。「損」が「得」になることもある。
  • 好調な専門店は、お客様と商品をよく知っている。
  • かっこよく売る。かっこいい商品を売ることは難しい。
  • 個人がやっている専門店のように、商品を大事に売っていく事も重要。

そして今一番感じることは、「資本力ある商売と、資本力ない商売は、根本的に違う。」ということ。つまり、「金(かね)」の意識が全く違う。

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「レイバン」の独占禁止法違反調査

サングラスメーカー「レイバン」が、「再販売価格の拘束」で独占禁止法違反の調査が入った。値引き販売の規制をしたということのようだ。そして今回、公正取引委員会にレイバン日本法人が改善計画を提出した。そういうことは過去数多くあったので、大した記事でもないとスルーしていたが、「レイバン」というブランドが微妙なイメージを持った。

値引き販売の規制は、昔から言わないだけで結構多かった。おそらく販売店が「店をやめる」覚悟で公正取引委員会に訴えたのではないかと思う。販売店がサングラス専門店なら「レイバン」や「オークリー」が店からなくなると商売にはならない。そのブランドで集客しているからだ。つまり、「レイバン」と喧嘩すれば商売ができなくなるのと同じ事になる。ただ、もっとネームバリューが大きくて、強いブランドは世間にはたくさんある。そして「再販売価格の拘束」をしている取引先(ブランド)も、もっとある。

ブランドビジネスで商売している小売業は、非常に弱い立場で、そのブランドがなくなると商売にならない。品揃え店でも当然メインのブランドはあり、そのブランドで集客している面もある。つまり、小売り側もブランドを利用していると言えるかもしれない。ただ、そのブランドのさじ加減で企業は変化する。出店しているSCに、中心ブランドが直営店を出店することもあるかもしれない。商道徳上はありえないことだが、取扱高によっては充分考えられる。企業の尺度が違えば、会社の方向性も違ってくる。実際、そういうことを経験したし、見てきた。

以前、あることで「公性取引委員会に話したい」旨を税理士に話したところ、「先方の大企業もダメージは受けるが、自社もそれによって環境が変わる」と指摘されたことがある。「大」のイメージはマイナスするが、「小」の受けるダメージも大きいということを暗に言われた。

現状の小売業は「取引先対小売業」「小売業での大手対中小」での問題が非常に多い。それが小売業の硬直化につながっている。そこに公正取引委員会が入って調整すべきなのだが、今回の「レイバン」の件のような微妙なブランドの微妙な決着しか表には出てこない。さらに小売業を語る時には「お客様目線」での見方が強く、片方の売買の当事者である取引先や小売業者(特に中小企業)の「当事者目線」にはあまり目を向けていない。つまり、小売業界の風通しは良くない。

本来、取引先と小売業はお互いリスペクとしなければ成長しないし、中小企業が活気づかなければ小売業も硬直する。 あまり具体的に深くは書けないので、この辺で・・・

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イオンモールは不動産業で小売業ではない

ネットを見ていると、今回のイオンモール熊本の事故で、お客様避難終了してから、イオンモール担当者がテナント担当者に「中に入っていい」と言っていたという記事が出ていた。前回も書いたが、少人数のイオンモール担当者が多くのテナント担当者と細かく対応できたとは思えない。防災管理者はおそらくイオンモールのGM(ゼネラルマネージャー)だと思うが、現実的には事故直後は多忙だったはずだ。イオンモール内での疎通ができていたかは疑問だ。

今回のことで浮き彫りになったが、以前からイオンモールのモール全体のマネジメントには疑問を持っていた。イオンモールの主な業務は、大型商業施設イオンモールのプロパティマネジメント(以下PM)になる。PMとは「不動産オーナーから委託を受けて、テナント対応や管理業務を通じて収益の最大化と資産価値向上を図る運営管理業務」ということだ。PM事業をする会社が出てきたとき、その企業の役員で現場にいたので小売業との違いはよくわかるつもりだ。

もともとPMの目的は、請け負った物件をさらに不動産価値を上げ、不動産購入時よりも価値を上げるのが仕事だ。熊本の物件も「イオンリート投資法人」が「みずほリースの子会社」へ売却している。おそらくそこで「イオンリート投資法人」は利益を計上している。現所有者もさらに価値が上がれば高く売りぬく。そういう仕組みになる。ただ現実的に価値を上げる仕事の多くは本部が担っており(改装等での賃料アップなど)、現場は細かいテナントとのやり取りや、PMレポートの作成等に時間を費やされる。つまり小売業としての仕事は多くはない。前回書いたがイオンモールのモール担当者とはモール内で会うことは非常に少なかった。さらに請負業としての仕事でもあるので、企業としては経費面で現場要員は少ないほどいい。

今回熊本の件も、想像ではあるが30名以下のイオンモール要員で、3000人近いテナント従業員を間接的にではあるが管理していることになる。施設管理の旧イオンディライトの要員を合わせても後方管理要員は非常に少ない。そこにひずみが出た。

ではどうすればいいのだろう?小売業と不動産業では絶対に相いれない壁がある。

小売業のお客様は、エンドユーザー(お客様:消費者)であり、不動産業のお客様は施設所有者になる。今までのイオンの商業施設は小売業であるイオンが所有していたのでお客様は消費者だった。不動産業であるイオンモールのお客様は厳密には消費者ではない。この視点に立たなければならない。モールが小売、販売をする場所ならば、小売業者がマネジメントするのが望ましいに決まっている。現状の不動産業のイオンモールは売場が仕事場になっているようには見えない。

そういう意味で、モールはお客様が買い物を楽しむ場所ならば、小売業がマネジメントする方が普通ではなのいか。もともと「ジャスコと100の専門店」のようなSCが大きくなってイオンモールは作られていった。その時は小売業が商業施設を運営していた。つまり、小売業たるイオンリテールが全体を管轄し、小売業としてテナントを管理する。さらにそのエリアのニーズに応じてSCを改装していく。それが本来の姿ではないか?子会社が増え、責任を複雑に絡ませてしまった弊害が今回の事故にもつながっている。

不動産流動化が進み、店舗が「小売業の現場」から「利回りを生む金融商品」に変貌してしまっている。それによって利益は最大化されてきたが、今回の事故のように一番重要な責任が宙に浮いてしまったように感じる。

小売の現場はどうあるべきかを再度考えるべきだと思う。

■今日のBGM

大型商業施設の課題と対策

熊本地震でのイオンモール熊本の被害者になられた従業員の方々には追悼の意を表します。

原因はガス配管等の構造的なものもあるらしい。そして、イオンモールとしては点検を定期的に行っていたようだ。さらに、30分ですべてのお客様の避難誘導は終えたと発表している。イオンの吉田社長は、被害はお客様の避難誘導が終わってその後の事故で発生したと記者会見で述べている。では、どこに問題があったのか?

イオンモール熊本は全従業員2700人と発表されている。その所属先を想定すると、まずGMS(イオンリテール:ジャスコ)が150人程度。メンテナンス会社(旧イオンディライト)が多くて50人。施設運営会社(イオンモール)が多くて30人。その残り約2500人が、ほぼテナントの従業員ということになる。GMSは店長中心にリスクマネジメントは強固だ。つまり、SCのPM(プロパティマネジメント)をするイオンモールが約2500人のテナントスタッフのマネジメントしている状況になっている。当日は平日でもあり、1500人程度のテナントスタッフ数だったようだ。

SC、テナントのお客様は入館客だし、事故が発生すれば、まず優先するのは入館客の安全だ。30分で避難完了したのは、その考え方がデベロッパーとテナント双方同じだったからだ。避難完了後からテナントの命令系統に当然各テナント会社も入ってくる。テナントも、第一義のお客様の誘導が終わった後、当然、所属企業に連絡はする。当然、そこからの指示もある。さらに何も持たずに避難していれば、それを取りに売場に戻りたい。つまり、お客様の安全が第一義であったなら、従業員の安全はその次にはなる。おそらく、そこにテナントマネジメントのほころびが出た。記者会見では話してないが、多くのテナントの従業員は一度店に戻ったのではないだろうか?そういう事例は耳にしている。少なくとも数人ではないはずだ。お客様の誘導が完了すれば自店の状況を確認しようというのは、担当者として当然のことだ。

今回の事故で一番の問題は、SCの管理サイドの人数が少なすぎることと、その少ない人数でのテナント管理は非常に難しく、きちんと細かくマニュアル化されていなかったのではないかということだ。

過去、小売店を経営していて、自店には必ず月1度は臨店していたが、イオンモールではあまり、担当者と会ったことはなく、売場や館内では見かけることも少なかった。よく顔を見かけるスタッフはいたが、限られていた。イオンモールにも延べ15店出店していたので、おそらく感覚的には間違ってないと思う。不動産の流動化でファンド物件になったりすると、レポーティング業務が多くなる。そうなれば当然デスクワークが多くなる。つまり、本来の営業面支援が手薄になり、テナントとのコミュニケーションも少なくなっていたのではないかと思う。そのコミュニケーション不足が、一般客の避難終了後のテナントとの指示系統の緩みにつながったのではないだろうか。

イオンモール熊本の保有者を調べてみると、現状は「みずほリース」の連結子会社が保有している。それまでは「イオンリート投資法人」だった。つまり「みずほリース」が大家で「イオンモール」が転借、運営管理している状況ということになる。イオンモールとの契約形態は細かくはわからないが、PMやFM(ファシリティマネジメント)へは大きくはコストをかけられない状況であることはわかる。そして上記したように、イオンモールの業務は小売業への取り組みより、大家さんへの報告業務が多くなっているのだと思う。さらにイオンモールの収益を上げるにはコスト(人員)は増やせない。そういう積み重ねでテナントとのコミュニケーションが希薄になっていったと思える。

今回の惨事は、当然施設の構造上の問題が一番大きいが、イオンモールの対テナントへのマネジメントの弱さも露呈している。防災組織図よりも細かいコミュニケーションが必要で、オフィスビルメンテナンスと違い商業施設としてどうあるべきかを再度見つめなおすことが大切だ。商業施設としてより活性化できることをテナントと話し合い、提案実施し、各テナントと親密なコミュニケーションをとっていく事を主要業務として運営していってほしい。そうすることで信頼関係は強固なものになっていく。

■今日のBGM