月: 2026年9月

店長に考えてもらいたいこと ➁

前回、店長もキャッシュフローを考えて売場をマネジメントするべきだと書いた。毎日売上ばかりを念頭に置いて仕事するのだろうが、本当に自分で金を持っての商売ができているのか自問自答して欲しい。昔と比べると、店長の平均年齢も上がっているように見える。もう一度商売の理屈や目標を見つめなおしてほしい。

単純に30坪の店を出店するのにいくらかかるのか?出店費用だが、敷金として坪100~200千は必要だ。ここでは坪150千として考えると4500千となる。敷金は返ってくると思っているかもしれないが、撤去時に撤去費用でその金額位は必要になる。つまり返っては来ないと考えるべき経費となる。内装工事に関して、共用部の負担金、内装管理費、現場協力金などで最低でも2000千は必要になる。さらにオープン販促費なども必要で、デベロッパーに支払う金額は概算合計7000千くらいになる。さらに内装費だが、ABC工事含めると安くても10000千は必要になる。おそらく今なら、物価高騰もありその金額では済まない。つまり、30坪の店を出店するにはその他諸経費を含めると20000千は必要になる。そこに、オープンするための商品の金額が必要になる。商品在庫を上代で坪500千とすれば、原価50%として7500千の金額が必要になる。つまり、少し多く見積もるが30000千くらいの金を投入することになる。

少し前に、ソフトバンクの無担保社債の募集があった。利率は4.75%であり税引き後3.785%となっていた。ソフトバンクの存続のリスクがあるが、ソフトバンクが7年続けば毎年利払いが続く。そしてその後原資は返却される。海外ではリスクが大きいと言われていたようだが、完売している。この社債に30000千を投資すれば、毎年税前で1425千の利払いがある。つまり、金を動かすだけの方が安全で堅い商売として映る。商売をやっていくということは、それ以上の収益がなければ、社会的な価値はないと考えることもできる。

企業には理念がある。昔立ち上げた会社は、そんなことは考えてなかったが、「やっていく業態は、他の企業が手を付けてないターゲットに向けた商売」だと思っていた。所謂「小さなブルーオーシャン」と感じたからスタートした。大きな理念はなかったが、ターゲットさえ間違わなければ成功すると思って始めた。そして、その考えが浸透していれば、企業は続いていくと思っていた。

では、今の物販小売業の店長はどういう気持ちで働いているのか?毎日ルーティン業務をして生活基盤としての収入をもらっているのか?大きな投資を受け止めて、その投資を回収していこうと前向きに動いているのか?おそらく前者のほうが多い。

このブログで再三書いているが、今後の顧客層は高年齢化し、その数は激減する。つまり、普通にやっていれば、中小の小売業は淘汰される。上場企業でさえ、どんどんなくなっている現実もある。もう一度、企業目的を徹底して話し合い、店長として何をするべきか、何を基盤に仕事をしていくのかを明確にしてほしい。

でも、走っている途中にはなかなか考えられないか・・・

少し説教じみたブログになってしまった。

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店長も店のキャッシュを管理する

このブログでは何度も書いていることだが、仕入れ担当者はキャッシュフローを再確認する必要がある。企業は、黒字であり続けても、現金がなくなり調達できなければ倒産する。そんな事例は山ほどある。店長も仕入れに参加しているなら、当然店舗のキャッシュフローを再点検すべきだ。そしてその意識を持って仕事に携わってほしい。

まず、当月のキャッシュインだが、テナント入店の場合はいろんな入金方法があるが、ここは簡易的にわかりやすく当月の売上が当月キャッシュインされると設定する。

次にキャッシュアウト。ここも支払いにいろんな時差はあるが、簡易的に当月のキャッシュアウトと設定する。まず賃料等。当然出店条件をわかっているとは思うので、賃料、共益費、販促費、事務手数料(クレジットが多くなると想像以上に大きい)、駐車場負担金は算出できる。次に人件費。店舗勤務者の給与を総支給で合算する。社会保険料は会社が支払い給与の約15%は負担しないといけないので、その分も人件費に上乗せする。さらに、電気代、電話代、店で発生するショッパーズなどの消耗品費、出張すれば交通費も発生する。

具体的に想定数字を考えてみる。

まず、キャッシュインでは売上を5,000千と想定。

キャッシュアウトで賃料、共益費、駐車場負担金、販促費で900千(イオンモールで30坪弱の店想定)。人件費は1,200千+200=1,400千(社保会社負担込み)。支払手数料100千、電気代、電話代、消耗品で100千 概算で2,500千。

つまりキャッシュはこの段階でキャッシュイン5,000千-キャッシュアウト2,500千=2,500千となっている。

ここで考えなければならないのが、商品の支払い分になる。キャッシュイン5,000千―キャッシュアウト2,500千=2,500千で商品の支払いをしないと足らなくなる。2,000千の仕入ならキャッシュは残るが、3,000千の仕入ならキャッシュは足らない。あくまでこの仕入数字は原価だということを再度理解する必要がある。

PL(損益計算書)で計算すると売上総利益率が仮に50%なら総利益が2,500千になり、経費分2,500千を引くと0になる。つまり儲けも損もない。つまり、概算ではあるが経費が大きく変動されなければ、損益分岐点売上は5,000千ということになる。ただここで仕入れが上記したように3,000千あればキャッシュは500千足らない。損益は赤字ではないが、支払い代金が払えない状況ということになる。例えば売上が5,200千で経費が変わらないとすれば200千の黒字になるが、仕入がこのままでキャッシュが足らず、さらに資金の手当てができなければ黒字倒産になる。(当然、数字上の事で交渉余地はある)

つまり、PL(損益計算書)上では黒字でも、仕入れ過多で支払いができなくなっていれば会社は倒産する。言い続けているが、仕入れ過多は在庫過多になり、支払いができなくなる。昨今の「ライトオン」「マックハウス」「ヴィレッジヴァンガード」はすべてこの状況から数字が悪化していった。

企業が大きくなると、細かく管理ができなくなるが、小売業をしているのなら、各店舗のキャッシュフローはチェックする必要がある。特に、現場で店長が仕入れに参画しているなら、店長もバイヤーとして最低限キャッシュフローはチェックするべきだと思う。

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「ハッカキッズ」ブランド休止と子供服業界

先日、子供服の「ハッカキッズ」がブランドを休止する旨を新聞で知った。このブログでは「雑談」として書いた方がいいのかもしれないが、「ハッカ」ブランドには過去お世話になった。

このブログでは過去の仕事としてよく書いているが、群馬県高崎駅前の「ニチイ」を改装し「SATY」の業態を作る時、商品部にいた。俗にいうDCブランドの誘致も主な仕事だったが、商圏には百貨店2店舗あり、路面店にはブランドが軒を連ねていた。「ビギ」や「ニコル」は有名なFC先があり、後発のSCには見向きもされなかった。その時一緒に仕事をしてくれた店のフロア責任者が、路面店で「ハッカ」を経営していた。その方には大変お世話になったのだが、そのおかげで「ハッカオム」は導入できた。その後、子供服ブランドブームの時には「ハッカキッズ」も店舗を構えることができた。

あの当時のDCと言われたブランドのほとんどが消えていった。「ビギ」グループは三井物産傘下に、「ニコル」グループは岐阜アパレル傘下になり、その他のブランドもほぼ消滅した。「ハッカ」ブランドは、その当時規模は大きくないがブームから離れて自分たちの方向を向いていたように思う。その後「Madu」など飲食と融合したショップを開発し、きちんと立ち位置を確保している。当時は、須賀社長(当時)にも営業担当者にもお世話になった。西麻布の本社にもよく伺った。

その後、子供服ブランドブームがあり、うまく地元FCオーナーと交渉ができて、「コムサフィユ」「ミキハウス」「べべ」のテナント出店や「ミニバツ」「ミニK」「メゾピアノ」などと「ハッカキッズ」をSATY直営にしてゾーニングができた。地方でこれだけのブランドが揃うのは珍しく、活況を呈した。ただブームが去ってからは、SCが「ビブレ」になると同時にすべてなくなった。「なくなった」というか「なくした」。思い出すと1996年のことだった。

平成子供服ブランドブームは、バブル崩壊後どんどんマイナストレンドになっていった。もともと子供服は、ベビーサイズ、トドラーサイズ、スクールサイズに分けられ、さらにサイズも身長の10センチピッチで、細かい。つまりジーンズ専門店がなくなっていったのと同様、在庫を抱える商売になる。さらに子供の成長は速く、着飾れる期間は短い。ただトドラーサイズは子供が最もかわいい時期になり、ジジババ戦略でのギフトで最も売れる。

子供服を取り巻く環境だが、国内出生数の変化を見ると、1990年は約122万人が2022年には84万人、2025年には70万人前後まで落ち込んでおり、1990年の60%を割り込んでいる。つまり、完全に商圏は小さくなっている。さらに1990年代に「ギャップ」が日本上陸し、サイズ観念が変化していったこともあり、子供服市場が変化し、特にスクールサイズが一般衣料品市場に加わっていった。ただ売上数字を見ると、子供服市場は大きなマイナスはないらしい。高級志向、インバウンドニーズで高価格帯の子供服は売れており、「ミキハウス」「ナルミヤ」などは堅調に伸ばしてきている。さらに「西松屋」「ユニクロ」「GU」のボリューム層も数字は大きい。見え方はそうだが、スクール需要をどう捉えるかで、数字は変わる。おそらく、昔のセグメントで考えれば減少の度合いは大きい。さらに、過去の子供服専業メーカーは寡占化が進み、中小のメーカーは姿を消している。

今後、大手の海外展開や効率化で維持できるメーカーは少なく、さらに寡占化が進むと思われるが、「服」以外への取り組みが必ず必要になってくる。一部の大手のブランドを除いては、子供服専業のメーカーは間違いなく消えていく。

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ユニクロの出店戦略変更で商業地図は変わる

日経新聞の1面のメインに「ユニクロ旗艦店を倍増」という記事があった。柳井社長の言葉を細かく記事中に入れている。「日本の主要都市すべてに旗艦店が必要だ。10年以内にやりたい」「出店は全て旗艦店戦略に変える」「商品を売るだけの通常店は増やしても意味がない」。トップダウンが強い企業なので、間違いなく出店戦略は変わっていく。このブログでも何度も書いているが、「人口減少による出店エリアの縮小」「ネット通販の普及」がこの言葉を後押ししている。

この記事通りであれば、今後の出店は都心中心で郊外店舗への出店はなくなる。店舗開発担当者は企業の方針に沿って動く。ちなみに、ユニクロの国内店舗数はピーク期の2013年8月末の850店から785店と減少している。

大都市はさておき、地方都市や郊外モールはどうなっていくのか?ユニクロの事しか言ってないので、GUの出店が加速するのかもしれない。GUの位置づけを変えるのかもしれない。ただ現状の地方都市駅前物件や大型モール(RSC)は、間違いなくユニクロがモールの柱になっている。ユニクロが店舗数を緩やかに減らしていく事を考えれば、RSC(特にイオンモール)は求心力を失う。

ただ、もうすでにRSCも開発できる場所はないのかもしれない。イオンモールに至っては至近距離のイオンモール出店過多で、もうRSCではなくCSC化(コミュニティSC)している物件も多い。おそらく、すでに出店は鈍化しているが、イオンモールもSC数は増えていかないと思う。 

現状、国内専門店小売業はユニクロと無印良品が2強とみていたが、今後はRSCに至っては無印良品の出店が増えそうだ。ただ無印良品も大型化を進めており、路面店も含めて大きさや出店条件を吟味しての出店になっていく。そして、無印良品も含めて旗艦店戦略のユニクロに追随する企業は間違いなく増える。

以前まとめたことを再度書く。まず10年後、20年後の人口予測とその構成比だが、総人口は10年後−730万、20年後−1500万、65才以上の高齢者の比率は現状30.3%が10年後33.3%、20年後35.3%と増える。さらに15才までの年少人口は減り続ける。そして生産者年齢人口も減り続ける。次に、人口現状30万以下の地方都市の高齢者人口は20年後50%を超え、人口も2020年比で−30%~50%の状況になると想定されている。つまり、東京、地方の大都市に人口も集中する。ただし、東京、大都市も高齢化は進み人口も減少していく。

そのデータを見て、国内戦略を考えると、当然国内では大都市戦略になっていき、地方ではEC化が進む。その意味で、ユニクロの国内戦略は理にかなっている。海外戦略では近年のアメリカ、ヨーロッパ戦略も旗艦店、大型店中心で成功している。

おそらく今後のファッション小売企業は人口減もあって、国内だけでは企業の成長はない。内部充実も大事だが、売上分母が大きくならなければ成長はない。海外進出や商売分野の拡大などの長期的なビジョンが描かれなければ、存在できなくなる。

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