今月シニアマーケットについて簡単にブログをまとめたが、20年後の小売業は大変な状況が予測される。データを見ていて改めて痛感した。
30年前(1995年)日本の平均年齢は39.5歳だった。現在は約49.5歳まで上がってきている。20年後には約54歳になるという。そして70歳以上の人口構成比は現状の23.5%から30%まで上昇する。さらに人口減も進み、現状1億2千万人強の人口も20年後には1億人前後まで減少すると言われている。そして地方の人口流出は進み、都市部に人口が集まり大都市圏と地方の格差が広がる。現状人口集中している東京圏の高齢者人口増加率も、全国平均を上回ると予測されている。特に20才から39才の女性人口の減少が著しくなっていくようだ。
現状の社会状況は、円安ドル高傾向は変わらず、物価上昇が続き、一部の富裕層以外の可処分所得は上がってこない。いろんな報道もあるが、このまま高齢化が進んでいくと、社会保障料がどんどん膨らみ、若年層の高齢者への負担は間違いなく大きくなる
単純にこのデータを見るだけでも、いくらでも勝手な予測は成り立つ。
商業施設はどうなっていくのか?上記したように、地方から大都市への人口流出が増えていく。さらに高齢者の増加と若年層の負担増で、需要はデイリーで生活感ある商材に変化していく。(今もその傾向が増えている)そして車の技術進歩はあると思うが、高齢者増で車利用での買い物客は間違いなく減少する。つまり生活範囲は狭まることが予想される。また交通手段として鉄道が見直されれば、再度駅前志向は強くなるかもしれない。そうなれば、地方郊外立地の大型モール(RSC)は当然淘汰されていく。客数減、高齢化、車客の減ではそのメリットを生かせない。逆に狭商圏型のネバーフットSC(NSC)やコミュニティSC(CSC)も再浮上するかもしれない。(イトーヨーカドーの戦略通り)
ファッションはどうなっていくか?高齢化や若年層の税負担増の影響で、「安さ」やポイント戦略のような「お得感」の打ち出しが一番のキーワードになってくる。必然的に年代を問わない大型売場へお客様は流れていく。そして現状、小売業もSPA(製造小売業)が中心になりつつあり、それができる企業規模や企業力が必要とされる。さらに国内市場の大幅減に対応して、海外戦略を強化する企業しか残っていかない。「ユニクロ」や「無印良品」の企業としての方向性は理にかなっているといえる。
食品関連は、今後さらに価格志向は続く。ただ高齢化に伴い、支出のほとんどが食品という客層も増える。そのため食へのこだわりを持つ客層は、衣料へのこだわりを持つ客層よりは多くなってくると思う。食を含めたデイリー商品は企業力で浮き沈みがはっきりする。さらに現在も進めているテクノロジーの導入で無人化、省力化は進んでいく。また、アナログではあるが、宅配や移動販売も増えてくる。
最後に、高齢化に伴い、今後はさらにネット販売依存は高まってくる。販売方法も大きく変化することが予測され、無人店舗や作業の自動化なども進んでいく。
簡単に書き並べてみたが、次の世代の小売業にはなかなか足を踏み入れることはできない。昔からやってきた「好きな商品を売りたい」や「気持ちの入った接客」で成り立つのはマイナーな客層だけで、それが商売になるのかどうかも分からない。そして、次世代の小売業に足を踏み入れるには「気持ち」より「大きな資金」が伴ってきそうだ。
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