ネットを見ていると、今回のイオンモール熊本の事故で、お客様避難終了してから、イオンモール担当者がテナント担当者に「中に入っていい」と言っていたという記事が出ていた。前回も書いたが、少人数のイオンモール担当者が多くのテナント担当者と細かく対応できたとは思えない。防災管理者はおそらくイオンモールのGM(ゼネラルマネージャー)だと思うが、現実的には事故直後は多忙だったはずだ。イオンモール内での疎通ができていたかは疑問だ。

今回のことで浮き彫りになったが、以前からイオンモールのモール全体のマネジメントには疑問を持っていた。イオンモールの主な業務は、大型商業施設イオンモールのプロパティマネジメント(以下PM)になる。PMとは「不動産オーナーから委託を受けて、テナント対応や管理業務を通じて収益の最大化と資産価値向上を図る運営管理業務」ということだ。PM事業をする会社が出てきたとき、その企業の役員で現場にいたので小売業との違いはよくわかるつもりだ。

もともとPMの目的は、請け負った物件をさらに不動産価値を上げ、不動産購入時よりも価値を上げるのが仕事だ。熊本の物件も「イオンリート投資法人」が「みずほリースの子会社」へ売却している。おそらくそこで「イオンリート投資法人」は利益を計上している。現所有者もさらに価値が上がれば高く売りぬく。そういう仕組みになる。ただ現実的に価値を上げる仕事の多くは本部が担っており(改装等での賃料アップなど)、現場は細かいテナントとのやり取りや、PMレポートの作成等に時間を費やされる。つまり小売業としての仕事は多くはない。前回書いたがイオンモールのモール担当者とはモール内で会うことは非常に少なかった。さらに請負業としての仕事でもあるので、企業としては経費面で現場要員は少ないほどいい。

今回熊本の件も、想像ではあるが30名以下のイオンモール要員で、3000人近いテナント従業員を間接的にではあるが管理していることになる。施設管理の旧イオンディライトの要員を合わせても後方管理要員は非常に少ない。そこにひずみが出た。

ではどうすればいいのだろう?小売業と不動産業では絶対に相いれない壁がある。

小売業のお客様は、エンドユーザー(お客様:消費者)であり、不動産業のお客様は施設所有者になる。今までのイオンの商業施設は小売業であるイオンが所有していたのでお客様は消費者だった。不動産業であるイオンモールのお客様は厳密には消費者ではない。この視点に立たなければならない。モールが小売、販売をする場所ならば、小売業者がマネジメントするのが望ましいに決まっている。現状の不動産業のイオンモールは売場が仕事場になっているようには見えない。

そういう意味で、モールはお客様が買い物を楽しむ場所ならば、小売業がマネジメントする方が普通ではなのいか。もともと「ジャスコと100の専門店」のようなSCが大きくなってイオンモールは作られていった。その時は小売業が商業施設を運営していた。つまり、小売業たるイオンリテールが全体を管轄し、小売業としてテナントを管理する。さらにそのエリアのニーズに応じてSCを改装していく。それが本来の姿ではないか?子会社が増え、責任を複雑に絡ませてしまった弊害が今回の事故にもつながっている。

不動産流動化が進み、店舗が「小売業の現場」から「利回りを生む金融商品」に変貌してしまっている。それによって利益は最大化されてきたが、今回の事故のように一番重要な責任が宙に浮いてしまったように感じる。

小売の現場はどうあるべきかを再度考えるべきだと思う。

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