先月営業終了した、福岡のマリノアシティで撤去作業中の写真が送付された。懐かしい写真が多かったが、その写真の中にレジバックにディスプレイした、簡単に作ったアルバムジャケットを集めたものがあった。

店の内装を考える時、少しでもインパクトが必要だと思っている。やっていた店はどちらかというとボリュームプライス志向の店で、プレステージの高い店のように内装コストもかけられない状況でもあった。床はフローリングもできないし、照明も埋め込めない。比較的固定什器を多くしたが、基本稼働什器(すぐ動かせる)中心での内装になってしまう。でも売場をチープに見せたくないのでイメージを作ろうと思っていた。1号店からそう考えていて、店のイメージを音楽で表現していった。在任中はすべての店で音楽のテーマを見せていた。レジバックにはテーマに沿ったアルバムジャケットを集め、流せる余裕のある店はモニターでDVDを流していた。(当然JASRACに使用料は支払っていた。)

商品のインパクトが強い店は、そのインパクトを店づくりでも表現する。それがグレード感だったり、商品のテーマだったりして、商品に合わせて店もデザインする。当然そういう居心地のいい空間にはコストもかかる。逆に商品もボリュームゾーンでいろんなターゲット、客層の店は、画一的なイメージで売場を変えやすくするために可動式の什器が多くなる。当然コストも抑えなければならない。さらにチェーン店にしないと商品原価も抑えられないので、当然多店舗化を目指す。そうなると同一内装でイメージも同一化させる。内装を同一化させることで什器も統一でき、什器も作りこみすることで内装コストも下げていける。内装コストは出店経費で一番大きい。

立ち上げた会社のビジネスモデルを考えた時、まずは軌道に乗せること、その後は60店舗くらいまで広げることを念頭に置いた。そこまでの規模なら、エリアに多店舗出ることはないので、内装はローコストで少しインパクトあるものにしたいと思っていた。結果的にそれが正しかったのかどうかはわからないが、各エリアで面白い内装で店舗イメージが作れたとは思っている。ただ店舗数が増えるにしたがって、その意図が店長レベルまで伝わっていかなったことは反省材料ではあった。

各店でアルバムのジャケットを見てくれたり、DVDやBGMを聞いて、感想を言ったり質問を投げかけられたりすることが多かったようだ。スタッフも好きなジャンルの音楽でなければ当然興味はない。ただ、お客様には少なからずインパクトは与えられたように思う。

面白いエピソードがある。岐阜県の店でDVDやアルバムジャケットを見ていたお客様が、店のスタッフに例によって質問した後、「名古屋の店はシカゴ(アメリカのロックバンド)だったね。」と言って帰っていったらしい。

ちょっと記憶に残る売場ではあったようだ。

■今日のBGM