前回、ユニクロの店の業務を書いていて、社員はこの仕事だけで小売業を理解できるのか、売上を求めるだけで小売業を続けられるのかと感じていた。小売業の面白さや厳しさがどれだけわかるのかとも思った。小売業は商品をセレクトすること、作ること、利益をどれだけ上げていけるかということや、企画、演出など商品以外のことなど、現場で売上を上げること以外の面白さもある。そしてそれを阻む要因も多く、それを乗り越えることも大きなキャリアになる。そして、そのすべてが小売業の面白さだと思っている。
調べてみると、ユニクロの新入社員の離職率は3年で50%近く、10年では80%超のようだ。ちなみに大卒初任給は全国転勤可能社員が月度37万円、地域限定社員が28万円となっている。
小売業の面白さの半分も感じない仕事では、長続きしないのは当然だと思う。しかし、よく考えるとユニクロの仕事とその対価設定、個人判断による離職率の高さは、ユニクロとしては当然想定済みのことなのではないかと思った。世界制覇を求める企業として、方向性を同じくする社員が必要で、異を唱える人材は必要がないのかもしれない。さらに小売業の本部機能は小さくて精鋭を揃え、本部決定事項を迅速に現場に伝えることを最優先させるという考え方だ。極論かもしれないが、企業の戦略を理解してステップアップしていく人材を選び、それが無理なスタッフや意見を言うスタッフには離職してもらっていいという考えが根底にある。そしてそれが成功要因の1つなのかもしれない。
そう考えれば、ユニクロの世界的な企業への躍進は充分納得できる。「ZARA」や「H&M」も同様でほぼ単一業態と言える。単一業態であることが企業戦略や役割分担を明確にする。そして、それを迅速に現場に浸透させている。
過去、小売業を立ち上げた時、スタッフには商売の面白さや商売への興味を持ってもらおうと思った。それが中小小売業の成功要因だとも思った。そして、店の個性を出すために店長に仕入れ権限を持たせた。おそらく個人的には、「ユニクロ」や大手アパレル企業よりも面白い仕事をさせていたと思う。仕入れ経験の長い人間は、バランスよく仕入をしてきたが、やはり仕入れ歴が浅い店長は利益計画、在庫計画まで頭が回らない。結局、面白い仕事をさせていたと思っているのは企業の思い込みだったかもしれない。それが店長の働き甲斐になっていたのかもわからない。店長はこんな仕事までしたくないという思いがあったのかもしれない。そしてそれ以前に、現状では中小企業の待遇ではスタッフも集まらない状況になっている。
高齢化の波もあり、商圏人口や、ターゲット客層は大幅に減少する。そうなると商業施設の淘汰も始まる。そうなれば、中小小売業が大企業と戦える環境もなくなる。もう同じ土俵では戦えない。
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