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この流れでは小売企業は利益率を求めてくる・・・

友人と話していると、小売業に販売員が全く集まらない状況らしい。当然の流れで、これからもずっと続くことは予測される。全国の企業で給料アップが続いており、大卒初任給の平均は24.8万円となっている。大都市近辺はそれ以上になるらしい。これを時給換算すると22日8時間勤務で1410円になる。アルバイトの地域最低時給も全国加重平均値は1121円になっており、東京、神奈川では1200円超で、低い県でもすでに1000円は超えている。そんな中、小売業では最低時給ではスタッフが集まらないようだ。立ち仕事で土日勤務になれば当然かもしれない。さらに調べてみると、ユニクロの正社員の初任給は37万円、転勤なしでも28万円となっている。無印良品は学歴関係なく27.4万円のようだ。

厳しい労働環境で、給与が低ければますます販売員は集まらない。当然どんな企業でも給与を上げる。上げなければ高賃金のところに流れる。最低賃金だけではなく、既存社員の給与を上げなければ給与ピラミッドが崩れてしまう。既存アルバイトも当然時給はアップさせる。さらに「106万の壁」がなくなり、企業の社会保険料の負担も増える。つまり企業の人件費はどんどん上がっていく。人件費が上がっていくと労働分配率も上昇する。そして労働分配率を抑えるためには、企業として利益率を上げようとする。営業数値上、当然の政策に見える。

ここでいつも問題になることがある。無理に利益率を上げようとすることだ。トップがその政策を出せば会社はその方向に向かう。施策としては、高値入率商品を数多く投入する。値下げは極力控える。単純に売れる高値入商品を入れて、順調に消化し、さらに追加フォローも順調に流れれば問題なく利益率は上がる。利益率が上がれば、人件費分をプラスされた利益額でカバーされ、労分率は上がらない。ただ、商売はそんなに簡単ではない。順調に売れて、仕入も継続できる商品などほぼない。つまり、結果的には利益は改善できても売上が改善されなければ、仕入れた分当然在庫は膨らむ。そして不稼働在庫が増える。不稼働在庫の値段を下げて処分しなければ回転率も悪化する。

どんな企業でも不稼働在庫は処分していかねばならない。ファッションライターの小島健輔氏はユニクロのシーズン通しての平均値下げ率は10%~15%と試算している。回転率が高そうなユニクロでさえ年間これだけの値段を下げている。為替の変動やボーディングコストの上昇もあるが、ユニクロの利益率が54%台というのは適正価格を追求している結果だとも言える。ユニクロのように完全にSPA型MDで回転率も考えている企業でも、利益率は「商売の結果」として納得できる数字になっている。

つまり、利益率は「商売の結果」だ。利益率を無理に上げようとすると、どこかにひずみが生まれる。一般的には、売上が伸びず在庫が膨らみ回転率が悪化する。

数字だけで経営をしてはいけない こういう時こそ、現場主義になり、現場発の提案に耳を傾けるべきだ。商売はやはり「売れてナンボ」の世界だ。

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利益率は商売の結果であるべきだ

前回書いた研修のプログラム「基本的数値の教材」の最後は「商品の回転率、回転日数の意味すること」で終わっている。「商品回転率が高く、回転日数が短いと不良在庫の発生が少なく、仕入れ活動がしやすく、新商品の導入や気候変化に柔軟な対応ができ、売場が新鮮になる」とまとめている。これが私自身の商売の基本にもなっている。

商売は現状COD(キャッシュオンデリバリー:金を支払ってから商品を納入すること)はほとんどなく、支払いサイトは現金払いでは一般的に月末締め月末払いでスタートが多く、最長2か月後最短1か月後の支払いになり、平均すると45日後の支払いになる。伸ばしても2か月後には支払いになる。(近頃手形払いはあまりないのでは?)つまり商売の理屈では商品を2か月で現金にして代金を払い、その差額が利益になるということになる。資金がなければその流れを繰り返して手持ち資金を蓄えていく。資金が回ってくれば銀行から融資もあるし、規模を広げていける。

PB商品や取引先との別注商品などが増え、「買い」の商品が減ってきているので原価率も下がり、回転日数が増えても利益には響かなくなってきているが、やはり回転日数が増えれば売場の鮮度感がなくなってしまう。つまり売場に変化が見えてこず、売場のイメージが変わってこなくなる。

回転日数の悪い商品をなくすために、商品の値引きをして販売する。値引き販売をすると利益は当然下がる。値引き販売をしなければ不良在庫が減らないし売上金が入ってこないので、新しい商品を仕入れられない。規模が大きくなってくると、利益を落とせなくなって、その状態で仕入れを続けてしまう。回転日数が増え、悪循環の始まりになる。どうしても利益率優先になってくる。しかし、ここで計上された利益率は実態とはかけ離れている。

イオングループから離れてファンドのもと再生を図るタカキューの2024年2月期決算の数字を見てみる。営業状況はわからず、あくまでも数字だけだが、利益率は61.4%(前年差;+1.5%)回転率3.00(前年3.36回転)売上高100.3億(前年比83,7%)となっている。前年の純損失は10,5億で、今年は店舗大幅減で人件費と家賃の削減で10億以上改善して約1億の損失になっている。現金は11億(しかない?)で債務超過は続き、危険な状況には変わりない。

回転率年3.0であれば1カ月0.25回転になる。4000万の商品で月1000万の売上を作っていることになる。支払いサイトを長く見て90日後支払いで設定しても、回転率は月度0.33回転しなければキャッシュは回っていかない。リストラにより規模縮小があり売上は減っているが、回転率は悪化しているので商品は売上に合わせて減っている状況ではない。商品が売れなければ商売にならない。利益率61.4%あっても売れなければ利益にならない。最近の専門店決算でも利益率はユニクロ51.9%、アダストリア55.3%、スーツ業界では青山51.1%、コナカ58.0%となっている。つまり売上は上がってないのに在庫は多く、利益率は高いままという構図が見えてくる。なぜ値段を下げて、売れてない商品を減らそうとしないのだろうか?

利益率を上げていくのは当然企業としての大命題だし、そこを目指していくことは当たり前のことだ。ただ売上を上げていくことがさらに優先されるべきであって、そのための手段として値段を下げて売っていくことも当然ある。商品が売れて消化されることによって、新しい商品を入れるキャパができる。そうすることがあって売場が変化し新鮮になっていく。

利益率は当然高みを目指していくべきだが、努力した商売の結果で算出された利益率こそが本来のあるべき姿だと思う。

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