もう新しいテナントは、中小企業から現れない。このブログでは、ずっと書いているが、さすがにデベロッパーも気が付いている。あれだけ急ピッチで開発してきたイオンモールも国内新規SCは八王子と福島県の伊達しか発表されていない。八王子は専門店数が21ということで新業態としての位置づけのようだ。ららぽーとも2029年に府中を計画しているのみとなっている。テナント構成はおそらく他のSCと変化なく大企業のテナント中心になり、そこに地元店が数店舗入店するおなじみのラインナップになると思う。もう個性を出したテナントは入店せず、わざわざ行ってみたいRSCは出てこないと思う。そうなった原因は、イオンモールを中心とした大型モールの乱立にも一因がある。
まず、一般的に中小小売店が事業拡大するには、エリアで地道に商売し、認知され店舗を増やしていくしかなかった。土地コストの安い地方から始まったモール戦略が、地方のそういう店舗を導入してモールの認知力を高めていった。そして急激なモール数の拡大に合わせて、出店を重ねていった地方発祥の店舗が完全に息切れしていった。大企業がモール用のブランドを開発していくにつれ、フロア変更や条件変更もあり、フェードアウトしていった。企業力が、急激なモール事業の拡大についていけなくなってしまった。逆にモールも大企業のどこにでもあるテナントが多くなり、個性化が図れなくなっている。そして、近年のRSCは大企業のテナントが多くなり、さらにテナントの大型化もあり、条件面のしわ寄せが中小型店舗に来ている。その結果、完全に中小小売店は成長できない状況に追い込まれている。
ただ、今でも頑張っている地方の名店はある。特にセレクト店舗が多い。そういう店は、販売スタッフを大事にする。待遇よりも商品が好きで働いているスタッフが多いからだ。大事な顔見知りのお客様とファッションの話をしたいスタッフだから、わざわざその店まで買いに来てくれるお客様を大事にする。オーナーはそういうスタッフやお客様を大事にする商売をしている。SCの環境は個店のお客様を大事にしにくい。かつて、SCに出店していた個性的なショップはそれが理由で退店していった。
ただ、そういう名店も長くは続かないように思う。主には「人対人」で成り立っているからだ。まず取引先との問題。ほとんどがカリスマ的なオーナーとの商売から始まっており、そのオーナーとの意志がどこまでつながっていくかだ。人が変わると突然ビジネスライクになることもよくあることだ。商売条件の変更もあり得る。さらに、「次の顧客」を開拓できるかだ。「人対人」はお互い年をとる。つまり「顧客の若返り」も課題になってくる。地方にその課題解決はできない。
もうよほどの名店でも、地方で路面店だけでは生きていけない。だから、地元の名店がRSCの1階に出店したりする。ただ、近年はデベロッパーが好調テナント(ユニクロや無印等)の大型化を断れなくなっており(近隣他SCへの移転を防ぐ)、そういう地方名店がそのあおりを受けて消えていっている。さらに大型区画にして出店している名店もあるが、売場からはその強烈な個性は消えている。
モールのリーシング担当者も、複数ショップを展開する取引先と出店交渉する方が話は早いし、まとまりやすい。さらには大きな区画も提案できる。そうなればさらに中小小売業の出店の余地はない。以前の会社でも、あるSCでは隣接大型テナントの拡大で収益店舗を退店したこともあるし、出店交渉で前向きに動いていたが、大企業からの横やりで話がなくなったりしたことがある。
人手不足も重なり、もう中小小売業は事業拡大に前向きにはなれない。逆に整理する時期になっている。
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