群馬県の県庁所在地である前橋市のスズラン百貨店が今年11月をもって閉店するという記事があった。また地方中心都市から百貨店が消えていく。

昔の地方中心都市は、現在では好立地ではない。鉄道を引くにあたって、街の中心地は難しかったため、少し離れた場所に駅を建設していった。つまり、昔は交通網としての駅中心の街ではなかった。地方都市の旧市街地が駅と離れているのは、そういう歴史がある。旧市街地の衰退は、鉄道の充足により影響を大きく受けている。前橋もその影響は大きい。

また昔の話になって申し訳ないが、前橋は社会人として小売業に従事した最初の土地であり、初めて行った街でもあった。それまで北関東以北には足を踏み入れたこともなかった。当時の前橋は中心市街地に前三百貨店(三越系)、西武2館(西友西武)、スズラン百貨店に加えて量販店のニチイ(マイカル)、長崎屋があった。この当時のGMSは今の郊外型ではなくニチイも6層の駅ビルタイプだった。ちなみに隣接している高崎には、スズラン百貨店高崎店、高島屋高崎店、藤五(伊勢丹系列、その後BIBI)があり、量販店ではダイエー(6層)ニチイ(8層)の大型物件があった。

今回の前橋スズラン閉店により、県庁所在地の中心市街地から百貨店がなくなることになり、過去5つもあった大型商業施設が消えてしまうことになる。ちなみに高崎市街地にあるスズラン百貨店高崎店も移転し、物販3層の2000坪位に縮小しており、もう百貨店の姿ではない。結果的に群馬県の百貨店は、高島屋高崎店1店舗になってしまうことになる。

その高島屋高崎店の売上は2025年2月期で161億円と公表されている。30年くらい前はスズラン百貨店計で420億位の売上(高崎スズランが約200億)だったと記憶する。当時の高島屋も200億超くらいで、後に別会社化されていたような気がする。私事ではあるが、その当時は高崎サティ、ビブレの店長を務めていたのでそういう記憶がある。現状、高島屋はスズラン百貨店の移転縮小で数字が辛うじて回復しているようだ。ただ、百貨店客層の戻りはそんなに大きくない。伸びてきているとはいえ、現状の売上では百貨店としての存続は非常に厳しいラインではないだろうか?高島屋でも売上はワースト2(ワーストは大宮)のようだし、今後前橋の百貨店客層をどう取り込むことができるかが、存続のポイントになりそうだ。

ただ、群馬県の商業の現状を見ると、完全にRSC中心に変わってしまっている。駐車場施設が少ない駅前に、わざわざ電車を利用して買い物に来る客数が増えるとは思えない。特に百貨店中心客層の高年齢層は、外出の機会も減っていく。さらに地方駅前のメイン客層はティーンズ層であり、そのターゲットの人口減も重なる。10年先を考えると駅前での百貨店の存続はないとしか思えない。

近隣の北関東の百貨店の数字を調べてみると。栃木県は東武宇都宮百貨店が2024年2月期売上269億円であり、近年は200億前後という情報もある。損益面も2024年純損失8.4億円という数字がある。茨城県では水戸京成百貨店は2025年2月期売上232億円、純損失6.4億円という数字となっている。両店とも地方関連会社としての扱いなので正確な帳票でないのかもしれないが、収益は赤字の状況のようだ。逆に栃木県の福田屋百貨店は大型RSCのような郊外物件で、未上場で数字は公表されてないが売上は2022年415億円(単店ではない)のようだ。

つまり、北関東各県に残っている百貨店はすべて赤字の状況が続いているということのようだ。いよいよ地方百貨店の存続は難しくなってきている。

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