元気で明るいムードのあったサンエーインターナショナル(以下サンエー)が、私自身が違う業種に身を置いている間に大きな変遷を繰り返したようだ。
まずDCブランドブームの終焉とリーマンショックなどと共に、サンエーも減益を続けていた。ピークは65億弱あった営業利益が2009年にはほぼ0になっており、リストラを実施し、東京スタイル(以下東スタ)と合併前には約19億弱の実績になっていた。そこで販路は百貨店平場になっていた東スタと統合し、TSIホールディング(以下TSI)となった。
東スタも長年のキャッシュ残はあるが商売としてはもうすでにじり貧だった。個人的にはブランドも「アリスバーリー」くらいしか思い出せない。東スタの統合前の決算数字を見てみると経常損失が約−14億、資産除去債務の計上などで純損失−103億強の数字となっている。流れとしては若く新しいブランド中心のサンエーが引っ張っていくかと思ったが、実質的には自己資本の多い東スタが決定権を持っていたようだ。1200億超の自己資本を持っていることで、どちらかというとサンエーより上目線になっていたのではないか。議決権比率も東スタ76;サンエー24の比率であり、そこで社内融和が図れず、新しい時代を作ろうとするサンエーより古い体質の東スタが決定権を持ってしまった。そういう中で、「数字やロジック」の得意な「現場感のない」社長を外部から招いた。ここが「1つ目の間違い」だった。
商売の流れがさらに悪化し、ここで上野商会を150億かけて買収する。なぜ上野商会なのか?これが「2つ目の間違い」。ほぼレディス中心のファッションアパレルと、正統派のジーンズカジュアルにあまり共通点はない。商品を回転させて商売していくレディスカジュアルとの商売は全く違う。常に商品回転率を中心に小売業を分析するが、前回も記したがサンエー時代最後の商品回転率は年間6.1回転。統合前の東スタでも年間4.9回転。上野商会の決算書は非上場で未公開だが、開示された資料を見ると併合前の総資産150億で純資産104億。デニム商売、プロパー商売中心ビンテージ訴求のカジュアル商売であれば、商品資産は少なくても純資産の半分くらいの50億くらいではなかったか?勝手に想定すると売上191億粗利益率は50%とすれば売上原価は95億。在庫は50億(少な目)で考えれば年間1.9回転になる。一般のジーンズ客でなく(脇ゴムジーンズでもいい客層含む)、正統派ジーンズ愛好者ターゲットであれば十分考えられる回転率だ。商品回転率が約5回転と約2回転、つまり、全く違う業種ということが言える。そして上野商会社長がTSIの社長になる。この「2つ目の間違い」は致命的になる。
ここからは会社の方向性が変わる。昔のサンエー、東スタのイメージは全く消える。今のブランドリストを見ると昔のサンエーインターナショナルとは全く違うものになっており、単に個性的なブランドの集合体になっている。どちらかというと上野商会の色目がきつい。ここが「3つ目の間違い」。さらにマニア志向の見え方を消すために、在庫問題で苦しんでいたであろうデイトナインターナショナルの買収をする。そうこうしているうちに、サンエー時代末期の商品回転率6.1回転が2.8回転の企業に変わってしまった。現状のTSIのブランドはマニア志向の本質的なブランドが多く魅力的ではあるが、上場企業の使命である「株主の利益」を高め多様なステークホルダーに価値を提供する企業になっていないような気がする。
今回の統合は間違いなくワールド主導になる。ただ、ファッションで言えばワールドはやはり、まだ昔の「ルイシャンタン」「コルディア」の会社のように見える。DC時代の「タケオキクチ」「ジュンコシマダ」やその後RSCでの「オゾック」「TK」も長く人気が続かなかった。やはりMD型でサラリーマンが多い会社と言えるかもしれない。ただ、企業としての小売目線と商品目線の基準はきちんと社員に統一化されているように感じる。おそらく今回の統合は「リスク」の方が大きいと思う。マニア志向ブランドを別会社にするなどして、くれぐれも小売目線で各ブランドを復活させてほしいと思う。
おそらく1+1=2にならない。1.5くらいでワールドが成長できればいいと考えての統合だったような気がする。ブランド整理は大変だと思う。
■今日のNGM

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