小売業界に長くいたので両社ともよく知っている。おそらく、ワールドが経営の主導権を握るだろうが、背負い込んだものは非常に重いと思う。
TSIは旧サンエーインターナショナル(サンエー)で、2018年に上野商会と統合している。現社長は旧上野商会社長の下地氏となっている。大手アパレル会社で言えば、過去一番仲良くしてもらった会社だ。販売代行で10数店舗運営したこともある。感じていた企業風土はデザイナーズ系の企業の冷たさがなく、ワールド、オンワードなど大手より、サラリーマンがいない明るく元気な会社のイメージがあった。おそらくその風土が、ブランド寿命がなくなり厳しい時代には合わなかったのではないかとも思う。ただ「パーリーゲイツ」や「マーガレットハウエル」など固定客が定着しているブランドもあり、企業の方向性を明確にすれば厳しい状況にはならないと思っていた。
そういう意味で「上野商会」との組み合わせで少し流れが変わった。元サンエー社員が「ジーパン屋になった」と言っていたが、企業の流れは旧「上野商会」に変わっていったようだ。フリークスの「デイトナインターナショナル」や、コアなジーンズ寄りの「東洋エンタープライズ」との統合もあり、久々にHPを見たがブランドラインアップが全く変わっていた。全然違う会社になっていた。この企業風土の変化が、今回のワールドとの統合につながったのではないかと思う。
もう知人もいないので、傍観者的見ると、上野商会との統合で一番気になるのは「在庫の考え方の相違」だと思う。メンズのウェートが上がり、コアな商品が増えると間違いなく在庫は増える。カジュアルな「フリークスストア」でも在庫の多さを感じていたので、レディス中心だった企業の尺度との違和感がワールドとの経営統合になったのではないかと思う。
常に商品回転率を指標に企業の状況を見てきたので、TSIホールディングスの決算もその観点で調べてみる。TSIでの2年目の決算(2013年)の商品回転率4.7回転が、2025年には2.8回転まで落ち込んでいる。さらにさかのぼればサンエーインター時代の2010年度は商品回転率が6.1回転だった。商品構成が変化しているので当然の結果ではあるが、現状では在庫が1回転するのに4カ月以上かかっていることになる。言い換えれば、売場の商品が4カ月以上変わっていない計算になる。多少、季節感の変化はあるが、商品と季節のずれは大きい。つまり商品が残る構造ということになる。そして、サンエーインターナショナル時代との比較では全く商品が回転しなくなっている。利益の出る構造ではない。利益が在庫の状態になっている。コアなターゲットや商品内容は違ってくるが「ライトオン」や「マックハウス」の破綻の原因に通ずるものがある。
そういう角度で見ると、ワールドがどういうふうにTSIを変えていくかが今後の課題になりそうではある。「マーガレットハウエル」や「パーリーゲイツ」などはブランド力を高めて拡大化を図ると思う。「ナチュラルビューティーベーシック」や「ヒューマンウーマン」などはワールド得意のゾーンなのでスームーズに拡大できる。ただ過半数以上になっている旧上野商会系のショップをどうしていくかが問題になりそうだ。中でも、大きな在庫を抱えるコアなショップをどうしていくのかが大きな課題だ。「ライトオン」以上に難しい。大きな出血を伴いそうだ。
久しぶりにTSI(個人的にはサンエーインターナショナル)を調べてみて、いろんなことがあったのだなと思った。もう少し整理して次回にでも書こうと思っている。
■今日のBGM(サンエーの勝手なイメージ)
